11 工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例(工事進行基準)
[1]適用要件
(1)長期大規模工事
内国法人が、長期大規模工事の請負をしたときは、その着工事業年度からその目的物の引渡事業年度の前事業年度までの各事業年度の所得の金額の計算上、その長期大規模工事の請負に係る収益の額及び費用の額のうち、工事進行基準の方法により計算した金額を、益金の額及び損金の額に算入する。
(2)その他の工事
内国法人が、工事(着工事業年度中にその目的物の引渡しが行われないものに限るものとし、長期大規模工事に該当するものを除く。以下[1]において同じ。)の請負をした場合において、その工事の請負(損失が生ずると見込まれるものを除く。)に係る収益の額及び費用の額につき、着工事業年度からその目的物の引渡事業年度の前事業年度までの各事業年度の確定した決算において工事進行基準の方法により経理したときは、その経理した収益の額及び費用の額は、その各事業年度の益金の額及び損金の額に算入する。
ただし、次の場合に該当することとなったときは、それぞれの事業年度以後の事業年度については、この限りでない。
@着工事業年度後のいずれかの事業年度の確定した決算においてその工事進行基準の方法により経理しなかった場合…その経理しなかった事業年度の翌事業年度
Aその工事の請負につき損失が生ずると見込まれるに至った場合…その事由が生じた事業年度
B着工事業年度後のいずれかの事業年度の見積工事利益が、既に工事進行基準の方法により計上した工事利益の合計額に満たないこととなった場合…その事由が生じた事業年度
[2]長期大規模工事の意義
工事(製造を含む。以下同じ。)のうち、その着手の日からその契約において定められている目的物の引渡期日までの期間が2年以上であること、その請負対価の額が50億円以上であることその他一定の要件に該当するものをいう。
[3]工事進行基準の方法
次の金額をその事業年度の収益の額及び費用の額とする方法をいう。
(1)工事の請負対価及び見積工事原価の額×進行割合-その事業年度前の各事業年度の収益の額及び費用の額とされた金額
(2)進行割合
その工事のために既に要した原材料費、労務費その他の経費の額の合計額/見積工事原価の額
[4]適格組織再編成
内国法人が適格組織再編成により被合併法人等から長期大規模工事の請負又はその他の工事の請負に係る契約の移転を受けた場合には、その内国法人において工事進行基準の適用を継続する。