5-9 減価償却資産の償却費の損金算入 償却方法 償却方法の選定及び変更 法定償却方法
[1]償却費の損金算入
(1)内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費としてその事業年度の損金の額に算入する金額は、その事業年度においてその償却費として損金経理した金額のうち、その内国法人が選定した償却方法に基づき計算した償却限度額に達するまでの金額とする。
(2)償却費として損金経理した金額には、繰越償却超過額を含むものとする。
(3)償却超過額がある場合には、その減価償却資産の帳簿価額は償却超過額の減額がされなかったものとみなす。
(4)償却費として損金経理した金額がある場合には、償却限度額その他償却費の計算に関する明細書を確定申告書に添付しなければならない。
[2]償却方法
(1)原則
減価償却資産の償却限度額の計算上選定できる償却方法は、次の区分に応じ、それぞれに定める方法とする。
@平成19年3月31日以前に取得された減価償却資産
(イ)建物((ハ)を除く。)
[イ]平成10年3月31日以前に取得された建物…旧定額法、旧定率法
[ロ][イ]以外の建物…旧定額法
(ロ)建物以外の有形減価償却資産((ハ)及び(ヘ)を除く。)…旧定額法、旧定率法
(ハ)鉱業用減価償却資産((ホ)及び(ヘ)を除く。)…旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法
(ニ)無形減価償却資産((ホ)を除く。)及び生物…旧定額法
(ホ)鉱業権…旧定額法、旧生産高比例法
(ヘ)国外リース資産(平成20年3月31日までに締結されたリース契約)…旧国外リース期間定額法
A平成19年4月1日以後に取得された減価償却資産
(イ)建物((ハ)及び(ヘ)を除く。)…定額法
(ロ)建物以外の有形減価償却資産((ハ)及び(ヘ)を除く。)…定額法、定率法
(ハ)鉱業用減価償却資産((ホ)及び(ヘ)を除く。)…定額法、定率法、生産高比例法
(ニ)無形減価償却資産((ホ)及び(ヘ)を除く。)及び生物…定額法
(ホ)鉱業権…定額法、生産高比例法
(ヘ)リース資産(平成20年4月1日以後に締結されたリース契約)…リース期間定額法
(2)特例
一定の減価償却資産については、納税地の所轄税務署長等の承認を受けて特別な償却方法を選定することができる。
[3]償却方法の選定
(1)選定単位
[2](1)の減価償却資産の区分ごとに、かつ、選択できる償却方法が複数あるものについては設備の種類その他一定の区分ごとに選定しなければならない。
なお、二以上の事業所を有する内国法人は、事業所ごとに選定することができる。
(2)届出
設立等の日の属する事業年度に係る確定申告書の提出期限までに、そのよるべき償却方法を書面により納税地の所轄税務署長に届出なければならない。ただし、選択できる償却方法が1つの減価償却資産についてはこの限りでない。
(3)みなし選定
旧定額法、旧定率法又は旧生産高比例法を選定している旧償却方法適用資産と同一区分に属する新償却方法適用資産について、(2)の届出をしないときは、それぞれ定額法、定率法又は生産高比例法を選定したものとみなす。
[4]償却方法の変更
償却方法を変更しようとする場合は、その新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに、変更のための申請書を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。
[5]法定償却方法
償却方法を選定しなかった場合には、次の方法とする。
(1)選択できる方法が複数あるもの((2)を除く。)…旧定率法又は定率法
(2)選択できる方法が複数あるもの(旧生産高比例法又は生産高比例法を選定できるものに限る。)…旧生産高比例法又は生産高比例法
[6]適格組織再編成
内国法人が適格分社型分割等により減価償却資産を移転する場合には、期中損金経理額のうち償却限度額に達するまでの金額を損金の額に算入する。