5-15 繰延資産の意義及び範囲 償却費の損金算入 償却限度額 少額繰延資産

[1]意義及び範囲
法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出日以後1年以上に及ぶもので次のものをいう。ただし、資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。
(1)創立費 (2)開業費 (3)開発費 (4)株式交付費 (5)社債等発行費 (6)(1)から(5)までのほか次の費用
@自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
A資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用
B役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
C広告宣伝用資産を贈与したことにより生ずる費用
D上記のほか、自己が便益を受けるために支出する費用

[2]償却費の損金算入
(1)内国法人の各事業年度終了の時の繰延資産につきその償却費としてその事業年度の損金の額に算入する金額は、その事業年度においてその償却費として損金経理した金額のうち償却限度額に達するまでの金額とする。
(2)償却費として損金経理した金額には、繰越償却超過額を含むものとする。
(3)償却超過額がある場合には、その繰延資産の帳簿価額は償却超過額の減額がされなかったものとみなす。
(4)償却費として損金経理した金額がある場合には、償却限度額その他償却費の計算に関する明細書を確定申告書に添付しなければならない。

[3]償却限度額
(1)任意償却の繰延資産
@範囲
[1](1)から(5)
A償却限度額
その繰延資産の額-既償却額
(2)均等償却の繰延資産
@範囲
(1)@以外
A償却限度額
その繰延資産の額×その事業年度の月数(注)/支出の効果の及ぶ期間の月数
(注)支出事業年度の場合には、支出日からその事業年度終了の日までの月数

[4]少額繰延資産
内国法人が、均等償却を行う繰延資産となる費用を支出する場合において、その支出金額が20万円未満のものにつき、その支出日の属する事業年度において損金経理したときは、その経理した金額は、その事業年度の損金の額に算入する。

[5]適格組織再編成
(1)適格分社型分割等
内国法人が適格分社型分割等により繰延資産を移転する場合には、期中損金経理額のうち償却限度額に達するまでの金額を損金の額に算入する。
(2)繰延資産の引継ぎ
内国法人が適格組織再編成を行った場合には、その直前の繰延資産のうち一定の金額を合併法人等に引継ぐ。