27 外貨建取引の換算 換算方法 換算差損益の取扱い 換算方法の選定及び変更 法定換算方法等

[1]外貨建取引の換算
(1)原則
内国法人が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引に係る円換算額は、その外貨建取引を行った時における外国為替相場により換算した金額とする。
(2)先物外国為替契約等を締結した場合
内国法人が先物外国為替契約等により外貨建取引(短期売買商品又は売買目的有価証券の取得及び譲渡を除く。)に係る資産又は負債の円換算額を確定させた場合において、その先物外国為替契約等の締結日にその旨を帳簿書類に記載したときは、その円換算額をもって(1)の規定により換算した金額とする。

[2]換算方法
(1)原則
内国法人が事業年度終了の時において有する外貨建資産等に係る円換算額は、次の区分に応じ、それぞれに定める方法により換算した金額とする。
@外貨建債権債務…発生時換算法又は期末時換算法
A外貨建有価証券
(イ)売買目的有価証券…期末時換算法
(ロ)売買目的外有価証券(償還有価証券に限る)…発生時換算法又は期末時換算法
(ハ)(イ)及び(ロ)以外の有価証券…発生時換算法
B外貨預金…発生時換算法又は期末時換算法
C外国通貨…期末時換算法
(注1)発生時換算法
外貨建取引を行った時における外国為替相場により換算した金額([1](2)の場合には、確定させた円換算額)をもって期末外貨建資産等の円換算額とする方法をいう。
(注2)期末時換算法
期末時における外国為替相場により換算した金額([1](2)の場合には、確定させた円換算額)をもって期末外貨建資産等の円換算額とする方法をいう。
(2)特例
内国法人が事業年度終了の時において有する外貨建資産等につき外国為替相場が著しく変動した場合には、その外貨建資産等に係る外貨建取引をその事業年度終了の時において行ったものとみなして、[1](1)及び[2](1)を適用することができる。

[3]換算差損益の取扱い
(1)発生事業年度
内国法人が事業年度終了の時において期末時換算法により換算する外貨建資産等を有する場合には、その外貨建資産等の期末時換算法による円換算額とその時の帳簿価額との差額は、その事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(2)翌事業年度
(1)の規定により益金の額又は損金の額に算入した金額は、その事業年度の翌事業年度の損金の額又は益金の額に算入する。

[4]換算方法の選定
(1)選定単位
内国法人が事業年度終了の時において有する外貨建資産等のうち[2](1)@、A(ロ)、Bに規定するものの換算方法は、その外国通貨の種類ごとに、かつ、一定の外貨建資産等の区分ごとに選定しなければならない。
(2)届出
その外貨建資産等に係る外貨建取引を行った場合には、その日の属する事業年度に係る確定申告書の提出期限までに、そのよるべき換算方法を書面により納税地の所轄税務署長に届出なければならない。

[5]換算方法の変更
換算方法を変更しようとする場合は、新たな換算方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに、変更のための申請書を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。

[6]法定換算方法
換算方法を選定しなかった場合には次の方法とする。
(1)短期外貨建債権債務及び短期外貨預金…期末時換算法
(2)[2](1)@、A(ロ)、Bに規定する外貨建資産等のうち上記以外のもの…発生時換算法

[7]為替予約差額の配分
(1)原則
内国法人が事業年度終了の時において有する外貨建資産等について、[1](2)の規定の適用を受けたときは、その先物外国為替契約等の締結日(その締結日がその外貨建資産等に係る外貨建取引を行った日前である場合には、その外貨建取引を行った日)の属する事業年度からその決済日の属する事業年度までの各事業年度の所得の金額の計算上、為替予約差額のうちその各事業年度に配分すべき一定の金額は、益金の額又は損金の額に算入する。
(2)特例
(1)に規定する外貨建資産等が短期外貨建資産等である場合の為替予約差額は、(1)の規定にかかわらず、その先物外国為替契約等の締結日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することができる。

[8]適格組織再編成
内国法人が適格組織再編成により被合併法人等から先物外国為替契約等の移転を受けた場合には、[7]の適用を引継ぐ。