9-1 貸倒引当金

[1]個別評価
(1)損金算入
内国法人が、(2)の場合において、その一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれる金銭債権(その金銭債権に係る債務者に対する他の金銭債権を含む。以下「個別評価金銭債権」という。)の損失の見込額として、各事業年度において損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、その金額のうち繰入限度額に達するまでの金額は、その事業年度の損金の額に算入する。
(2)繰入限度額
次の区分に応じそれぞれに定める金額とする。
@その個別評価金銭債権が会社更生法の規定による更生計画認可の決定等に基づき、弁済猶予又は賦払弁済される場合…その個別評価金銭債権の額のうち、その事由が生じた事業年度終了の日の翌日から5年以内に弁済される金額以外の金額
Aその個別評価金銭債権に係る債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、事業に好転の見通しがないこと等により、その個別評価金銭債権の一部につき取立て等の見込みがない場合(@に掲げる場合を除く。)…その一部に相当する金額
Bその個別評価金銭債権に係る債務者につき、会社更生法の規定による更生手続開始の申立て等の事由が生じている場合(@に掲げる場合及びAの適用を受けた場合を除く。)…その個別評価金銭債権の額の50%相当額
C外国の政府等に対する個別評価金銭債権につき、長期にわたる債務の履行遅滞により経済的な価値が著しく減少し、かつ、弁済を受けることが著しく困難であると認められる場合…その個別評価金銭債権の額の50%相当額

[2]一括評価
(1)損金算入
内国法人が、その有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(個別評価金銭債権を除く。以下「一括評価金銭債権」という。)の貸倒れによる損失の見込額として、各事業年度において損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、その金額のうち繰入限度額に達するまでの金額は、その事業年度の損金の額に算入する。
(2)繰入限度額
(その事業年度終了の時において有する一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額)×貸倒実績率
(3)繰入限度額の特例
@法人(各事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人を除く。)が(1)の適用を受ける場合には、その事業年度終了の時における一括評価金銭債権の帳簿価額(実質的に債権とみられない金額を除く。)の合計額に法定割合を準じて計算した金額をもって、その繰入限度額とすることができる。
A公益法人等又は協同組合等の(1)の適用については、その繰入限度額(@の適用を受ける場合にはその金額)は、その金額の116%相当額とする。

[3]手続規定
[1][2]の規定は、税務署長がやむを得ない事情があると認める場合を除き、確定申告書に損金算入に関する明細の記載がある場合に限り適用する。

[4]益金算入
[1][2]の規定により損金の額に算入された貸倒引当金勘定の金額は、その事業年度の翌事業年度の益金の額に算入する。

[5]適格組織再編成
(1)適格分社型分割等
内国法人が適格分社型分割等により個別評価金銭債権を移転する場合には、期中貸倒引当金勘定の金額のうち繰入限度額に達するまでの金額を損金の額に算入する。
(2)貸倒引当金勘定の引継ぎ
内国法人が適格組織再編成を行った場合には、その直前の貸倒引当金勘定のうち一定の金額を合併法人等に引継ぐ。

[6]連結法人に対する金銭債権
個別評価金銭債権及び一括評価金銭債権には、連結法人に対して有する金銭債権を含まないものとする。