11-1 移転価格税制(国外関連者との取引に係る課税の特例)
[1]損金不算入
法人が国外関連者との間で資産の販売、資産の購入、その他一定の取引(以下「国外関連取引」という。)を行った場合において、法人が国外関連者から支払いを受ける対価の額が独立企業間価格に満たないとき、又は法人が国外関連者に支払う対価の額が独立企業間価格を超えるときは、その国外関連取引は独立企業間価格で行われたものとみなし、その差額はその法人の各事業年度の損金の額に算入しない。
[2]国外関連者
法人と次の関係にある外国法人をいう。
(1)発行済株式等の50%以上を直接又は間接に保有し又は保有される関係
(2)同一の者により、それぞれの発行済株式等の50%以上を直接又は間接に保有される関係
(3)人事、取引、資金の関係を通じて支配又は被支配にある関係
(4)(1)から(3)のいずれかで連鎖している関係
[3]独立企業間価格
次のいずれかにより算定した金額をいう。
(1)独立価格比準法
特殊関係にない売手と買手がその国外関連取引と同様の状況下で取引した対価の額に相当する金額を対価の額とする方法
(2)再販売価格基準法
再販売価格から通常の利潤の額を控除した金額を対価の額とする方法
(3)原価基準法
製造等の原価の額に通常の利潤の額を加算した金額を対価の額とする方法
(4)(1)から(3)に準ずる方法
ただし、(1)から(3)までの方法が使用できない場合に限る。
[4]寄附金との関係
法人が支出した寄附金の額のうち国外関連者に対するものは、各事業年度の損金の額に算入しない。
[5]みなし国外関連取引
法人が、非関連者を通じて行う国外関連者との一定の取引は、その法人の国外関連取引とみなして、[1]の規定を適用する。
[6]一定書類の添付
法人は、国外関連者との間で取引を行った場合には、国外関連者の名称及び本店又は主たる事務所の所在地その他一定の事項を記載した書類を確定申告書に添付しなければならない。
[7]更正決定
法人が国外関連者との取引を独立企業間価格と異なる対価の額で行った事実に基づく法人税に係る更正決定又はその法人税に係る加算税の賦課決定は、国税通則法に規定する期間制限にかかわらず、更正決定に係る法人税の法定申告期限の日又は納税義務の成立の日から6年を経過する日まで、することができる。
[8]納税の猶予
内国法人が国税庁長官に対して租税条約に規定する申立てをした場合には、税務署長等は、その申立てに係る[7]により納付すべき法人税の額及び加算税の額を限度として、その内国法人の申請に基づき、その納期限からその条約相手国の権限のある当局との合意に基づく再更正があった日の翌日から1月を経過する日までの期間に限り、その納税を猶予することができる。ただし、その申請時において、その法人税以外の国税の滞納がある場合には、この限りでない。