58 タックスヘイブン税制(特定外国子会社等の所得に係る課税の特例)

[1]留保金額の益金算入
(1)益金算入
(2)の内国法人に係る外国関係会社のうち、特定外国子会社等に該当するものが、適用対象留保金額を有する場合には、その適用対象留保金額のうち課税対象留保金額は、その内国法人の収益の額とみなして、その特定外国子会社等の各事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の益金の額に算入する。
(2)適用対象法人
@その外国関係会社の発行済株式等の5%以上を直接及び間接に保有する内国法人
Aその外国関係会社の発行済株式等の5%以上を直接及び間接に保有する一の同族株主グループに属する内国法人
(3)外国関係会社
居住者及び内国法人並びに特殊関係非居住者により、その発行済株式等の50%超を直接及び間接に保有される外国法人をいう。
(4)特定外国子会社等
外国関係会社のうち、本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が、本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いものをいう。
(5)適用対象留保金額
特定外国子会社等の各事業年度の未処分所得の金額から次の金額の合計額を控除した残額をいう。なお、特定外国子会社等が固定施設を有するものである場合には、その人件費の10%相当額を控除する。
@その各事業年度において納付することとなる法人所得税の額
Aその各事業年度に係る剰余金の配当等の額
(6)課税対象留保金額
適用対象留保金額のうち、その内国法人の有するその特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等に対応する金額をいう。
(7)一定書類の添付
(2)の内国法人は、特定外国子会社等の貸借対照表及び損益計算書その他一定の書類を確定申告書に添付しなければならない。
(8)適用除外
@(1)の規定は、特定外国子会社等が固定施設を有するものであり、非関連者基準又は所在地国基準を満たすときは適用しない。
A@の規定は、確定申告書に適用に関する書面の添付をし、かつ、その資料等を保存しなければならない。

[2]外国税額控除の適用
(1)特定外国子会社等の外国法人税額
[1]の適用を受ける場合には、特定外国子会社等の外国法人税の額のうち課税対象留保金額に対応する金額は、その内国法人が納付する控除対象外国法人税の額とみなして、外国税額控除を適用する。
(2)特定外国子会社等の外国法人税額の益金算入
(1)の適用を受ける場合には、その内国法人が納付する控除対象外国法人税の額とみなされた金額は、一定の事業年度の益金の額に算入する。

[3]課税済留保金額の損金算入
(1)損金算入
[1]の適用を受けた内国法人に係る特定外国子会社等が剰余金の配当等をした場合において、その特定外国子会社等の課税済留保金額があるときは、その金額のうちその内国法人に対する剰余金の配当等に充てられた金額は、その内国法人のその剰余金の配当等があった日を含む事業年度の損金の額に算入する。
(2)課税済留保金額
課税対象留保金額で[1]の規定により前10年以内の各事業年度の益金の額に算入された金額をいう。
(3)手続規定
(1)の規定は、税務署長がやむを得ない事情があると認める場合を除き、確定申告書に損金算入に関する申告の記載があり、かつ、明細書の添付がある場合に限り適用し、その記載金額を限度とする。