1-3 担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収
[1]要件
次のすべてに該当するときは、納税者の国税は、質権者又は抵当権者から、これらの者が譲渡財産に係る強制換価手続において、その質権又は抵当権の被担保債権につき配当を受けるべき金額のうちから徴収することができる。
(1)納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に登記した質権又は抵当権を設定した財産を譲渡したこと
(2)納税者の財産につき滞納処分を執行してもなおその国税に不足すると認められること
[2]徴収できる金額
[1]により徴収することができる金額は、次の(1)から(2)の金額を控除した額をこえることができない。
(1)配当金額
譲渡財産の換価代金から質権又は抵当権の被担保債権が配当を受けるべき金額
(2)仮定配当金額
譲渡財産を納税者の財産とみなし、その財産の換価代金につき納税者の国税の交付要求があったものとした場合に質権又は抵当権の被担保債権が配当を受けるべき金額
[3]手続
(1)担保権者への通知
税務署長は、[1]により国税を徴収しようとするときは、その旨を質権者又は抵当権者に対して、所定の事項を記載した書面により通知しなければならない。
(2)交付要求
税務署長は、譲渡財産につき強制換価手続が行われた場合には、徴収できる金額の国税につき、執行機関に対し、交付要求をすることができる。
(3)担保権の代位実行
税務署長は、[1]により国税を徴収するため、質権者又は抵当権者に代位してその質権又は抵当権を実行することができる。