2-1 第二次納税義務

[1]無限責任社員の第二次納税義務(人的限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@合名会社又は合資会社が国税を滞納したこと
A滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
その社員(合資会社にあっては無限責任社員)
その社員が二人以上いるときは、連帯してその責を負う。
(3)責任限度
滞納者の滞納国税の全額とする。

[2]清算人等の第二次納税義務(金銭限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@法人が解散した場合において、その法人が納付すべき国税を納付しないで残余財産の分配又は引渡しをしたこと
A滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
清算人及び残余財産の分配又は引渡しを受けた者
ただし、無限責任社員の第二次納税義務の規定の適用を受ける者を除く。
(3)責任限度
次のそれぞれの価額を限度とする。
@清算人については、分配又は引渡しをした財産の価額
A残余財産の分配又は引渡しを受けた者については、その受けた財産の価額

[3]清算受託者等の第二次納税義務(金銭限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@清算の開始原因による信託が終了した場合において、その信託に係る清算受託者が納付すべき国税を納付しないで信託財産に属する財産を残余財産受益者等に給付したこと
A滞納者に、滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
特定清算受託者及び残余財産受益者等
(3)責任限度
次のそれぞれの価額を限度とする。
@特定清算受託者については、給付をした財産の価額
A残余財産受益者等は、給付を受けた財産の価額

[4]同族会社の第二次納税義務(金銭限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@滞納者が、その同族会社に該当する会社の株式又は出資を有すること
ただし、滞納国税の法定納期限の1年以上前に取得したものを除く。
A@の株式又は出資につき次のいずれかの理由があること
(イ)再度換価に付してもなお買受人がないこと
(ロ)その譲渡につき制限があり又は株券の発行がないため、譲渡することにつき支障があること
B滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
その同族会社
(3)責任限度
滞納者が有するその同族会社の株式又は出資の価額を限度とする。

[5]同族会社等の行為計算否認等による課税額の第二次納税義務(金銭限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@滞納者が、同族会社等の行為又は計算否認などの規定により課された国税を滞納していること
A滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
(1)の規定により否認された滞納者の行為等につき利益を受けたものとされる者
(3)責任限度
受けた利益の額を限度とする。

[6]無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務(金銭限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@滞納者がその財産につき無償又は著しく低い額の対価による譲渡、債務の免除その他第三者に利益を与える処分をしたこと
ただし、滞納国税の法定納期限の1年前の日以後にされたものに限る。
A滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
BAの国税に不足すると認められることが、@の処分に基因すると認められること
(2)第二次納税義務者
(1)の処分により権利を取得し又は義務を免れた者
(3)責任限度
次のそれぞれの額を限度とする。
@(2)の者が第三者であるときは、これらの処分により受けた利益が現に存する額
A(2)の者がその処分の時に滞納者の親族その他の特殊関係者であるときは、これらの処分により受けた利益の額

[7]人格のない社団等から財産の払戻等を受けた者の第二次納税義務(金銭限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@滞納者である人格のない社団等が財産の払戻又は分配をしたこと
ただし、滞納国税の法定納期限の1年以上前にされたものを除き、また、清算人等の第二次納税義務の規定の適用がある場合を除く。
A滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
(1)の払戻又は分配を受けた者
(3)責任限度
払戻又は分配を受けた財産の価額を限度とする。

[8]実質課税額の第二次納税義務(物的限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@滞納者が実質所得者課税の原則などの規定により課された国税を滞納していること
A滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
その国税の賦課の基因となった収益が法律上帰属するとみられる者など
(3)責任限度
その責任は、実質所得者課税の原則などの賦課の基因となった収益が生じた財産(取得財産を含む。)を限度とする。

[9]共同的な事業者の第二次納税義務(物的限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@次に掲げる者が滞納者の事業の遂行に欠くことができない重要な財産を有していること
(イ)滞納者と生計を一にする配偶者その他の親族で、その滞納者の経営する事業から所得を受けているもの
(ロ)滞納者がその事実のあった時の現況において同族会社である場合には、その判定の基礎となった株主又は社員
A@の重要な財産に関して生ずる所得が滞納者の所得となっていること
B滞納者がその財産の供されている事業に係る国税を滞納していること
C滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
(1)の重要な財産を有しているそれぞれの者
(3)責任限度
(1)の重要な財産(取得財産を含む。)を限度とする。

[10]事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務(物的限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@滞納者がその親族その他の特殊関係者に事業を譲渡したこと
ただし、滞納国税の法定納期限より1年以上前にされているものを除く。
A事業の譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいること
B滞納者が譲渡した事業に係る国税を滞納していること
C滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
滞納者から事業を譲り受けた親族その他の特殊関係者
(3)責任限度
譲受財産(取得財産を含む。)を限度とする。

[11]人格のない社団等の財産の名義人の第二次納税義務(物的限度)
(1)成立要件
次のすべてに該当するときに成立する。
@国税を滞納している人格のない社団等の財産で、第三者に法律上帰属するとみられる財産があること
A滞納者に、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること
(2)第二次納税義務者
人格のない社団等に属する財産の名義人となっている第三者
(3)責任限度
その財産を限度とする。