3-1 滞納処分としての財産の調査

[1]質問及び検査(任意調査)
徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿書類(電磁的記録を含む。)を検査することができる。
(1)滞納者
(2)滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
(3)滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
(4)滞納者が株主又は出資者である法人

[2]罰則
(1)次のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
@質問及び検査の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
A質問及び検査の規定による帳簿書類の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者
(2)法人の代表者などが、その法人などの業務又は財産に関して(1)の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人などに対して罰金刑を科する。

[3]捜索の権限及び方法(強制調査)
(1)徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
(2)徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次のいずれかに該当するときに限り、第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
@滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき
A滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき
(3)徴収職員は、(1)又は(2)の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸、若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、又は自らこれを開くため必要な処分をすることができる。

[4]捜索の時間制限
(1)捜索は、日没後から日出前まではすることができない。ただし、日没前に着手した捜索は、日没後まで継続することができる。
(2)旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所については、滞納処分の執行のためやむを得ない必要があると認めるに足りる相当の理由があるときは、(1)にかかわらず、日没後でも、公開した時間内は、捜索することができる。

[5]捜索の立会人
徴収職員は、捜索をするときは、その捜索を受ける滞納者若しくは第三者又はその同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものを立ち会わせなければならない。
この場合において、これらの者が不在であるとき、又は立会に応じないときは、成年に達した者二人以上又は市町村長の補助機関である職員若しくは警察官を立ち会わせなければならない。

[6]出入禁止
徴収職員は、捜索、差押又は差押財産の搬出をする場合において、これらの処分の執行のため支障があると認められるときは、これらの処分をする間は、次に掲げる者を除き、その場所に出入することを禁止することができる。
(1)滞納者
(2)差押に係る財産を保管する第三者及び第三者に対する捜索の規定により捜索を受けた第三者
(3)(1)及び(2)に掲げる者の同居の親族
(4)滞納者の国税に関する申告、申請その他の事項につき滞納者を代理する権限を有する者

[7]捜索調書の作成
(1)徴収職員は捜索したときは、捜索調書を作成しなければならない。
(2)徴収職員は、捜索調書を作成した場合には、その謄本を捜索を受けた滞納者又は第三者及びこれらの者以外の立会人があるときはその立会人に交付しなければならない。
(3)(1)及び(2)は、同時に差押調書を作成する場合には、適用しない。この場合においては、差押調書の謄本を捜索を受けた第三者及び立会人に交付しなければならない。

[8]官公署等への協力要請
徴収職員は、滞納処分に関する調査について必要があるときは、官公署又は政府関係機関に、その調査に関し参考となるべき帳簿書類(電磁的記録を含む。)その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる。

[9]身分証明書の呈示等
(1)徴収職員は、質問、検査又は捜索をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを呈示しなければならない。
(2)質問、検査又は捜索の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。