3-10 第三債務者等がある無体財産権等の差押

[1]手続
(1)第三債務者等がある無体財産権等(振替社債等を除く。)
@差押の通知
第三債務者等がある無体財産権等の差押は、第三債務者等に対する差押通知書の送達により行う。
A差押登記の嘱託
税務署長は、無体財産権等でその権利の移転につき登記を要するものを差し押えたときは、差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
B権利証書の取上げ
徴収職員は、第三債務者等がある無体財産権等の差押のため必要があるときは、その権利に関する証書を取り上げることができる。
この取上げは、動産又は有価証券の差押手続及び第三者が占有する動産等の差押手続を準用する。
(2)振替社債等
@差押の通知
振替社債等の差押は、振替社債等の発行者及び滞納者がその口座の開設を受けている振替期間等に対する差押通知書の送達により行う。
A処分禁止
徴収職員は、振替社債等を差し押えるときは、発行者に対しその履行を、振替機関等に対し振替社債等の振替又は抹消を、滞納者に対し振替社債等の取立その他の処分又は振替若しくは抹消の申請を禁じなければならない。

[2]効力発生時期
(1)第三債務者等がある無体財産権等(振替社債等を除く。)の差押の効力は、その差押通知書が第三債務者等に送達された時に生ずる。
ただし、差押の登記が差押通知書の送達前にされた場合には、上記にかかわらず、その差押の登記がされた時に差押の効力が生ずる。
(2)特許権についての専用実施権その他の権利でその処分の制限につき登記をしなければ効力が生じないものの差押の効力は、(1)にかかわらず、差押の登記がされた時に生ずる。
(3)振替社債等の差押の効力は、その差押通知書が振替機関等に送達された時に生ずる。

[3]効力
(1)取立権の取得
@徴収職員は、差し押えた第三債務者等がある無体財産権等の取立をすることができる。
このとき、取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。
A徴収職員が金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
(2)差し押えた持分の払戻の請求
税務署長は、組合員等が任意に脱退することができるもの(合名会社、合資会社及び合同会社を除く。)の組合員等である滞納者の持分を差し押えた場合において、その持分につき@及びAの理由があり、かつ、その持分以外の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、その組合等に対し、その持分の一部の払戻しを請求することができる。
なお、この請求は、30日前に組合等に予告した後でなければ、行うことができない。
@その持分を再度換価に付してもなお買受人がないこと
Aその持分の譲渡につき法律または定款に制限があるため、譲渡することができないこと