3-11 財産の換価の通則
[1]換価する財産の範囲
(1)差押財産(金銭、債権及び取立をする有価証券を除く。)は、換価しなければならない。
(2)差し押えた債権のうち、その全部又は一部の弁済期限が取立をしようとする時から6月以内に到来しないもの及び取立をすることが著しく困難であると認められるものは、換価することができる。
[2]自動車等の換価前の占有
自動車、建設機械又は小型船舶の換価は、徴収職員が占有した後に行うものとする。ただし、換価に支障がないと認められるときは、この限りでない。
[3]修理等の処分
税務署長は、差押財産を換価する場合において、必要があると認めるときは、滞納者の同意を得て、その財産につき修理その他その価額を増加する処分をすることができる。
[4]見積価額の決定及び公告
税務署長は、公売財産の見積価額を決定し、財産の種類に応じて所定の日までにその見積価額を公告しなければならない。
この場合において、必要と認めるときは、鑑定人にその評価を委託し、その評価額を参考とすることができる。
[5]公売保証金
(1)内容
@公売財産の入札又は競り売りに係る買受けの申込み(以下「入札等」という。)をしようとする者(以下「入札者等」という。)は、税務署長が公売財産の見積価額の100分の10以上の額により定める公売保証金を次の(イ)又は(ロ)に掲げるいずれかの方法により提供しなければならない。
(イ)現金(一定の小切手を含む。)で納付する方法
(ロ)入札者等と保証銀行等(銀行その他税務署長が相当と認める者をいう。)との間において、その入札者等に係る公売保証金に相当する現金を税務署長の催告によりその保証銀行等が納付する旨の契約が締結されたことを証する書面を税務署長に提出する方法
A税務署長は、公売財産の見積価額が50万円以下である場合又は買受代金を売却決定の日に納付させるときは、その提供を要しないものとすることができる。
(2)効果
公売財産の入札者等は、(1)Aの場合を除き、公売保証金を提供した後でなければ入札等をすることができない。
(3)処理
@買受人は、(1)@(イ)に掲げる方法により提供した公売保証金がある場合には、その公売保証金を買受代金に充てることができる。
A買受人が買受代金を期限までに納付しないことにより売却決定が取消されたときは、その公売保証金をその公売に係る国税に充て、なお残余があるときは、これを滞納者に交付しなければならない。
B税務署長は、(1)@(ロ)に掲げる方法により公売保証金を提供した入札者等に対して買受人が買受代金を期限までに納付しないことにより売却決定を取消したときは、その入札者等に係る保証銀行等にその公売保証金に相当する現金を納付させるものとする。
この場合において、その保証銀行等が納付した現金は、その処分を受けた者が現金で納付する方法により提供した公売保証金とみなして、(3)Aの規定を適用する。
(4)返還
税務署長は、買受人以外の入札者等が提供した公売保証金をその者が買受人となり得ないことが確定した場合には、遅滞なく、その提供した者に変換しなければならない。
[6]換価の制限
(1)果実
果実は成熟した後、蚕は繭となった後でなければ、換価をすることができない。
(2)仕掛品
(1)の規定は、生産工程中における仕掛品で、完成品となり、又は一定の生産過程に達するのでなければ、その価額が著しく低くて通常の取引に適しないものについて準用する。
[7]買受人の制限
(1)滞納者は、換価の目的となった自己の財産を、直接であると間接であるとを問わず、買い受けることができない。
(2)国税庁、国税局、税務署又は税関に所属する職員で国税に関する事務に従事する職員は、換価の目的となった財産について、買い受けることができない。
[8]公売実施の適正化のための措置
(1)内容
税務署長は、公売への参加、買受代金の納付等を妨害した者、不正に連合した者などの者に該当すると認められる事実がある者については、その事実があった後2年間、公売の場所に入ることを制限し、若しくはその場所から退場させ、又は入札等をさせないことができる。
このほか、その事実があった後2年を経過しない者を使用人その他の従業者として使用する者及びこれらの者を代理人とする者についても同様とする。
(2)入札等の取消
(1)に該当する者の入札等又はその者を最高価申込者等とする決定については、税務署長は、その入札等がなかったものとし、又はその決定を取り消すことができるものとする。
(3)公売保証金の処理
(2)の処分を受けた者の納付した公売保証金があるときは、国庫に帰属する。
(4)身分の証明
(1)の適用に関し必要があると認めるときは、入札者等の身分に関する証明を求めることができる。