3-12 公売及び随意契約による売却
[1]公売
(1)税務署長は、差押財産を換価するときは、これを公売に付さなければならない。
(2)公売は、入札又はせり売の方法により行わなければならない。
[2]公売公告
(1)税務署長は、差押財産を公売に付すときは、公売の日の少なくとも10日前までに公売財産の名称、数量、性質及び所在、その他一定の事項を公告しなければならない。
(2)この公告は、税務署の掲示場その他税務署内の公衆の見やすい場所に掲示して行う。但し、他の適当な場所に掲示する方法、官報などに掲げる方法その他の方法をあわせて用いることを妨げない。
[3]公売の通知
(1)税務署長は、公売公告をしたときは、公告した事項及び公売に係る国税の額を、滞納者及び次に掲げる者のうち知れている者に通知しなければならない。
①公売財産につき交付要求をした者
②公売財産上に質権、抵当権、先取特権、留置権、地上権、賃借権その他の権利を有する者
(2)税務署長は、(1)の通知をするときは、公売財産の売却代金から配当を受けることができる者のうち知れている者に対し、その配当を受けることができる国税、地方税その他の債権につき債権現在額申立書をその財産の売却決定をする日の前日までに提出すべき旨の催告をあわせてしなければならない。
[4]入札及び開札
(1)入札をしようとする者は、その住所又は居所、入札価額その他必要な事項を記載した入札書に封をして、これを徴収職員に差し出さなければならない。
この場合において、電子情報組織を使用して入札がされる場合には、入札書に封をすることに相当する措置をもって封をすることに代えることができる。
なお、その提出した入札書の引換、変更又は取消をすることはできない。
(2)開札をするときは、徴収職員は、入札者を開札に立ち会わせなければならない。ただし、入札者が立ち会わないときは、税務署所属の他の職員を開札に立ち会わせなければならない。
(3)税務署長は、入札の方法により差押財産を公売する場合において、入札者がないとき又は入札価額が見積価額に達しないときは、直ちに再度入札をすることができる。
この場合においては、見積価額を変更することはできない。
[5]せり売
せり売の方法により差押財産を公売するときは、徴収職員は、その財産を指定して、買受けの申込を催告しなければならない。
なお、徴収職員は、せり売人を選び、このせり売を取り扱わせることができる。
また、[4](3)の規定はせり売りについて準用する。
[6]最高価申込者の決定
徴収職員は、見積価額以上の入札者等のうち最高の価額による入札者等を最高価申込者として定めなければならない。
この場合において、最高の価額による入札者等が2人以上あるときは、更に入札等をさせて定め、なおその入札等の価額が同じときは、くじで定める。
なお、同種同価額の財産を一時に多量に公売する場合において、必要があると認めるときは、複数落札入札制によることができる。
[7]次順位買受申込者の決定
(1)徴収職員は、入札の方法により不動産等の公売をした場合において、最高価申込者の入札価額に次ぐ高い価額(見積価額以上でかつ最高入札価額から公売保証金の額を控除した金額以上であるものに限る。)による入札者から次順位による買受けの申込みがあるときは、その者を次順位買受申込者として定めなければならない。
(2)次順位による買受けの申込みは、最高価申込者の決定後直ちにしなければならない。
[8]入札又はせり売の終了の告知等
(1)徴収職員は最高価申込者を定めたときは、直ちにその氏名及び価額を告げた後、入札又はせり売の終了を告知しなければならない。
(2)公売した財産が不動産等であるときは、税務署長は、最高価申込者等の氏名、その価額並びに売却決定をする日時及び場所を滞納者、公売財産につき交付要求をした者及び公売財産上に質権等を有する者のうち知れている者に通知するとともに、これらの事項を公告しなければならない。
[9]随意契約による売却
次のいずれかに該当する場合には、税務署長は、差押財産を、公売に代えて、随意契約により売却することができる。
(1)法令の規定により、公売財産を買い受けることができる者が一人であるとき、その財産の最高価額が定められている場合において、その価額により売却するとき、その他公売に付することが公益上適当でないと認められるとき
(2)取引所の相場がある財産をその日の相場で売却するとき
(3)公売に付しても入札等がないとき、入札等の価額が見積価額に達しないとき、又は売却決定を取り消したとき
[10]国による買入れ
国は、公売に付しても入札等がないときその他一定の場合に該当するときにおいて、必要があるときは、その直前の公売における見積価額でその財産を買い入れることができる。
[11]用語の意義
不動産等とは、不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、小型船舶、債権又は電話加入権以外の無体財産権等をいう。