3-16 交付要求
[1]要件
滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関に対し、交付要求をしなければならない。
[2]手続
(1)交付要求は、交付要求書をその執行機関に交付することにより行う。
(2)交付要求をしたときは、税務署長は、滞納者及び質権者等のうち知れている者にその旨その他必要な事項を記載した交付要求通知書により通知しなければならない。
[3]効力
(1)配当請求
交付要求をした国税は、強制換価手続の換価代金等から配当を受けることができる。
(2)交付要求先着手
納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税及び地方税の交付要求があったときは、その換価代金につき、先にされた交付要求に係る国税は、後にされた交付要求に係る国税又は地方税に先だって徴収する。
(3)消滅時効の中断
交付要求の効力が生じた時に交付要求に係る国税の徴収権の消滅時効は中断し、その交付要求がされている期間内は、中断理由が継続する。
この交付要求による時効中断の効力は、その交付要求に係る強制換価手続が取り消されたときにおいても失われない。
(4)交付要求の失効
交付要求は、その交付要求に係る強制換価手続が取り消されたときには、消滅時効の中断の効力を除いてその効力を失う。
[4]制限
税務署長は、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその国税の全額を徴収することができると認められるときは、交付要求をしないものとする。
[5]解除請求
(1)要件
強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があったときは、税務署長に対し、次のすべてに該当することを理由として、交付要求解除請求書により、その交付要求を解除すべきことを請求することができる。
@その交付要求により自己の債権の全部又は一部の弁済を受けることができないこと
A滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができること
(2)措置
税務署長は、(1)の解除請求があった場合において、その請求を相当と認めるときは、交付要求を解除しなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨を請求した者に通知しなければならない。
[6]解除
(1)内容
税務署長は、納付、充当、更正の取消その他の理由により交付要求に係る国税が消滅したときは、その交付要求を解除しなければならない。
(2)手続
@交付要求の解除は、その旨を交付要求に係る執行機関に通知することにより行う。
A交付要求を解除したときは、税務署長は滞納者及び質権者等のうち知れている者にその旨を通知しなければならない。