3-17 参加差押
[1]要件
次のすべてに該当するときは、税務署長は、行政機関等に対し、参加差押をすることができる。
(1)滞納者の財産についてすでに滞納処分による差押がされていること
(2)(1)の滞納処分による差押がされている財産が次に掲げるものであること
@動産及び有価証券
A不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械及び小型船舶
B電話加入権
(3)参加差押をする国税につき、滞納処分による差押の要件を充足していること
[2]手続
(1)参加差押は、交付要求書に代えて参加差押書を滞納処分をした行政機関等に交付することにより行う。
(2)参加差押をしたときは、税務署長は、滞納者及び質権者等のうち知れている者にその旨その他必要な事項を記載した参加差押通知書により通知しなければならない。
(3)税務署長は、参加差押をした財産が電話加入権であるときは、その旨を第三債務者に通知しなければならない。
(4)税務署長は、[1](2)Aに掲げる財産について参加差押をしたときは、参加差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
[3]効力
(1)配当請求
参加差押をした国税は、滞納処分の換価代金等から配当を受けることができる。
(2)交付要求先着手
納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税及び地方税の交付要求があったときは、その換価代金につき、先にされた交付要求に係る国税は、後にされた交付要求に係る国税又は地方税に先だって徴収する。
(3)消滅時効の中断
参加差押の効力が生じた時に参加差押に係る国税の徴収権の消滅時効は中断し、その参加差押がされている期間内は、中断理由が継続する。
(4)差押の効力発生
参加差押をした場合において、その参加差押に係る財産につきされていた滞納処分による差押が解除されたときは、その参加差押は、次に掲げる財産の区分に応じ、それぞれに掲げる時にさかのぼって差押の効力を生じる。
@動産及び有価証券…参加差押書が滞納処分による差押をした行政機関等に交付された時
A不動産(鉱業権を除く。)、船舶、航空機、自動車、建設機械及び小型船舶…参加差押通知書が滞納者に送達された時(参加差押の登記がその送達前にされた場合には、その登記がされた時)
B鉱業権…参加差押の登録がされた時
C電話加入権…参加差押通知書が第三債務者に送達された時
(5)差押の解除と参加差押
税務署長は、差し押えた動産又は有価証券について参加差押書の交付を受けた場合において、その動産又は有価証券の差押を解除すべきときは、その動産又は有価証券及び他の参加差押書その他滞納処分に関する必要な書類を差押の効力を生ずべき参加差押をした行政機関等に引き渡さなければならない。
差し押えた自動車、建設機械又は小型船舶で徴収職員が占有しているものについても、また同様とする。
(6)換価の催告権
参加差押をした税務署長は、その参加差押に係る滞納処分による差押財産が相当期間内に換価に付されないときは、すみやかにその換価をすべきことをその滞納処分をした行政機関等に催告することができる。
[4]制限
税務署長は、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその国税の全額を徴収することができると認められるときは、参加差押をしないものとする。
[5]解除請求
(1)要件
滞納処分により配当を受けることができる債権者は、参加差押があったときは、税務署長に対し、次のすべてに該当することを理由として、参加差押解除請求書により、その参加差押を解除すべきことを請求することができる。
@その参加差押により自己の債権の全部又は一部の弁済を受けることができないこと
A滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその参加差押に係る国税の全額を徴収することができること
(2)措置
税務署長は、(1)の解除請求があった場合において、その請求を相当と認めるときは、参加差押を解除しなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨を請求した者に通知しなければならない。
[6]解除
(1)内容
税務署長は、納付、充当、更正の取消その他の理由により参加差押に係る国税が消滅したときは、その参加差押を解除しなければならない。
(2)手続
@参加差押の解除は、その旨を参加差押に係る行政機関等に通知することにより行う。
A参加差押を解除したときには、税務署長は滞納者及び質権者等のうち知れている者にその旨を通知しなければならない。
B参加差押の登記をした財産の参加差押を解除したときは、その登記のまつ消を関係機関に嘱託しなければならない。
C電話加入権の参加差押を解除したときは、その旨を第三債務者に通知しなければならない。