3-6 引渡命令を受けた第三者等の権利の保護
[1]契約の解除
(1)解除の選択
@内容
動産の引渡を命ぜられた第三者が、滞納者との契約による賃借権、使用貸借権その他動産の使用収益をする権利に基きその命令に係る動産を占有している場合において、その引渡をすることにより占有の目的を達することができなくなるときは、その第三者は、その占有の基礎となっている契約を解除することができる。
A通知
契約の解除を選択したときは、解除をした旨の通知をその動産の差押の時までに税務署長に対し、書面にてしなければならない。
(2)損害賠償請求権への配当
第三者は、契約の解除により滞納者に対して取得する損害賠償請求権については、その動産の売却代金の残余のうちから配当を受けることができる。
(3)前払借賃への配当
動産の引渡を命ぜられた第三者が賃貸借契約に基きこれを占有している場合において、引渡を命ぜられたためにその契約を解除し、かつ、その命令があった時前にその後の期間分の借賃を支払っているときは、その第三者は、税務署長に対し、その動産の売却代金のうちから、その借賃に相当する金額で差押の日後の期間に係るもの(最高3月分)の配当を請求することができる。
この場合において、その請求があった金額は、国税優先の原則の規定にかかわらず、その滞納処分費に次ぎ、かつ、その動産上の留置権の被担保債権に次ぐものとして配当することができる。
[2]使用収益の選択
(1)内容
徴収職員は、動産の引渡を命ぜられた第三者の請求がある場合には、その第三者が契約を解除したときを除き、その動産の占有の基礎となっている契約の期間内(最高3月間)は、その第三者にその使用収益をさせなければならない。
(2)請求
使用収益の選択をしたときは、その使用収益の請求をその動産の差押の時までに税務署長に対し、書面にてしなければならない。
また、差押の時までに契約解除の通知又は使用収益の請求がないときは、使用収益の請求があったものとみなす。
[3]引渡を拒まない第三者
[1]及び[2]の規定は、動産の引渡を拒まなかった第三者について準用する。