3-7 債権の差押

[1]手続
(1)債権(電子記録債権を除く。)
@差押の通知
債権の差押は、第三債務者に対する債権差押通知書の送達により行う。
A処分禁止
徴収職員は、債権を差し押えるときは、第三債務者に対しその履行を、滞納者に対し債権の取立その他の処分を禁じなければならない。
B差押登録の嘱託
税務署長は、債権でその移転につき登録を要するものを差し押えたときは、差押の登録を関係機関に嘱託しなければならない。
(2)電子記録債権
@差押の通知
電子記録債権の差押は、第三債務者及びその電子記録債権の電子記録をしている電子債権記録機関に対する債権差押通知書の送達により行う。
A処分禁止
徴収職員は、電子記録債権を差し押えるときは、第三債務者に対しその履行を、電子債権記録機関に対し電子記録債権に係る電子記録を、滞納者に対し電子記録債権の取立その他の処分又は電子記録の請求を禁じなければならない。
(3)抵当権等の被担保債権の差押
抵当権又は登記することができる質権若しくは先取特権の被担保債権を差し押えたときは、税務署長は、その債権の差押の登記を関係機関に嘱託することができる。
この場合において、その嘱託をした税務署長は、その抵当権若しくは質権が設定されている財産又は先取特権がある財産の権利者(第三債務者を除く。)に差し押えた旨を通知しなければならない。
(4)債権証書の取上げ
徴収職員は、債権の差押のため必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。この取上げは、動産又は有価証券の差押手続及び第三者が占有する動産等の差押手続を準用する。

[2]効力発生時期
(1)債権(電子記録債権を除く。)の差押の効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる。
(2)電子記録債権の差押の効力は、債権差押通知書が電子債権記録機関に送達された時に生ずる。ただし、第三債務者に対する差押の効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる。

[3]効力
(1)法定果実に対する効力
差押の効力は、差押財産から生ずる法定果実には及ばない。ただし、債権を差し押えた場合における差押後の利息については、この限りでない。
(2)継続的な収入に対する効力
給料若しくは年金又はこれらに類する継続収入の債権の差押の効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額に及ぶ。
(3)債権の取立
@徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。
このとき、取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。
A徴収職員が金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。

[4]差し押える債権の範囲
徴収職員は、債権を差し押えるときは、その全額を差し押えなければならない。
ただし、その全額を差し押える必要がないと認めるときは、その一部を差し押えることができる。

[5]債権の取立
(1)債権の取立
@徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。
このとき、取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。
A徴収職員が金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
(2)弁済委託
@第三債務者は、差し押えられた債権の履行のために、国税の納付に使用することができる証券以外の有価証券を提供して弁済の委託をすることができる。
A弁済委託にあたり、その証券の取り立てるべき期限が差し押えた債権の弁済期後となるときは、第三債務者は、滞納者の承認を受けなければならない。
この承認を受けた第三債務者は、その承認を受けたことを証する書面を徴収職員に提出しなければならない。
B証券の取立につき費用を要するときは、その委託をしようとする者は、その費用の額に相当する金額をあわせて提供しなければならない。