3-8 不動産等の差押

[1]不動産の差押手続
(1)差押の通知
不動産の差押は、滞納者に対する差押書の送達により行う。
(2)差押登記の嘱託
税務署長は、不動産を差し押えたときは、差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。

[2]不動産の差押の効力発生時期
(1)不動産の差押の効力は、差押書が滞納者に送達された時に生ずる。
ただし、差押の登記が差押書の送達前にされた場合には、上記にかかわらず、その差押の登記がされた時に差押の効力が生ずる。
(2)鉱業権の差押の効力は、(1)にかかわらず、差押の登録がされた時に生ずる。

[3]不動産の差押の効力
滞納者又は使用収益をする権利を有する第三者は、差し押えられた不動産につき、通常の用法に従い、使用収益をすることができる。
ただし、税務署長は、不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限り、その使用収益を制限することができる。

[4]船舶又は航空機の差押手続
(1)差押の通知
船舶又は航空機の差押は、滞納者に対する差押書の送達により行う。
(2)差押登記の嘱託
税務署長は、船舶又は航空機を差し押えたときは、差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
(3)一時停泊
税務署長は、滞納処分のため必要があるときは、船舶又は航空機を一時停泊させることができる。
ただし、発航の準備が終った船舶又は航空機については、この限りでない。
(4)監守保存処分
徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、船舶又は航空機の監守及び保存のため必要な処分をすることができる。

[5]船舶又は航空機の差押の効力発生時期
船舶又は航空機の差押の効力は、差押書が滞納者に送達された時に生ずる。
ただし、差押の登記が差押書の送達前にされた場合には、その差押の登記がされた時に、監守及び保存のため必要な処分が差押書の送達前にされた場合には、その処分をした時に、上記にかかわらず、それぞれ差押の効力が生ずる。

[6]船舶又は航空機の差押の効力
(1)差し押えた船舶又は航空機につき、原則として使用収益は認められる。
(2)税務署長は、停泊中の船舶若しくは航空機を差し押えた場合又は一時停泊させた場合において、営業上の必要その他相当の理由があるときは、滞納者、交付要求者及び抵当権その他の権利を有する者の申立により、航行を許可することができる。

[7]自動車、建設機械又は小型船舶の差押手続
(1)差押の通知
自動車、建設機械又は小型船舶の差押は、滞納者に対する差押書の送達により行う。
(2)差押登記の嘱託
税務署長は、自動車、建設機械又は小型船舶を差し押えたときは、差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
(3)監守保存処分
徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、自動車、建設機械又は小型船舶の監守及び保存のため必要な処分をすることができる。
(4)占有
税務署長は、自動車、建設機械又は小型船舶を差し押えた場合には、滞納者に対し、これらの引渡しを命じ、徴収職員にこれらの占有をさせることができる。
この場合には、動産又は有価証券の差押手続及び第三者が占有する動産等の差押手続を準用する。
(5)保管
徴収職員は、(4)の引渡命令により占有する自動車、建設機械又は小型船舶を滞納者又はこれらを占有する第三者に保管させることができる。
この場合には、封印その他の公示方法によりこれらが徴収職員の占有に係る旨を明らかにしなければならない。
また、[9](2)により自動車の運行、建設機械の使用又は小型船舶の航行を許可する場合を除き、これらの運行、使用又は航行をさせないための適当な措置を講じなければならない。

[8]自動車、建設機械又は小型船舶の差押の効力発生時期
自動車、建設機械又は小型船舶の差押の効力は、差押書が滞納者に送達された時に生ずる。
ただし、差押の登記が差押書の送達前にされた場合には、その差押の登記がされた時に、監守及び保存のため必要な処分が差押書の送達前にされた場合には、その処分をした時に、上記にかかわらず、それぞれ差押の効力が生ずる。

[9]自動車、建設機械又は小型船舶の差押の効力
(1)自動車、建設機械又は小型船舶を差し押えた場合において、徴収職員が占有し又は滞納者若しくはこれらを占有する第三者に保管させたときは、使用収益は認められない。
(2)徴収職員は、[7](4)又は(5)により占有し、又は保管させた自動車、建設機械又は小型船舶につき営業上の必要その他相当の理由があるときは、滞納者、交付要求者及び抵当権その他の権利を有する者の申立により、その運行、使用又は航行を許可することができる。