7-1 不服審査及び訴訟の特例

[1]不服申立期間
(1)不服申立(審査請求を除く。)は、処分があったことを知った日の翌日から起算して2月以内にしなければならない。
(2)審査請求は、異議決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1月以内にしなければならない。
(3)天災その他(1)、(2)の期間内に不服申立をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、不服申立は、(1)及び(2)にかかわらず、その理由がやんだ日の翌日から起算して7日以内にすることができる。
(4)不服申立は、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。
ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

[2]滞納処分に関する不服申立の期限の特例
滞納処分について次に掲げる処分に関し欠陥があることを理由としてする異議申立は、災害等による期限の延長の規定又は[1]に掲げる異議申立期間を経過したものを除き、それぞれの期限まででなければ、することができない。
(1)督促 差押えに係る通知を受けた日(その通知がないときは、その差押があったことを知った日)から2月を経過した日
(2)不動産等についての差押え 公売期日等
(3)不動産等についての公売広告から売却決定までの処分 換価財産の買受代金の納付の期限
(4)換価代金等の配当 換価代金等の交付期日

[3]差押動産等の搬出の制限
引渡命令を受けた第三者が、その命令に係る財産が滞納者の所有に属していないことを理由として、その命令につき不服申立をしたときは、その不服申立の係属する間は、その財産の搬出をすることができない。

[4]不動産の売却決定等の取消の制限
(1)内容
公売等に関する不服申立の期限の特例に係る処分に欠陥があることを理由として滞納処分に関する不服申立てがあった場合において、その処分は違法であるが、一定の場合に該当するときは、税務署長等は、その不服申立を棄却することができる。
(2)手続等
不服申立についての棄却の決定又は裁決には、処分が違法であること及び不服申立を棄却する理由を明示しなければならない。
また、国に対する損害賠償の請求は妨げられない。

[5]不服申立と国税の徴収との関係
(1)執行不停止及び換価の制限
不服申立は、その目的となった処分の効力、処分の執行の続行を妨げない。
ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき又は不服申立人から別段の申出があるときを除き、その不服申立についての決定又は裁決があるまで、することができない。
(2)異議申立の場合の執行停止等
@異議審理庁は、必要があると認めるときは、異議申立人の申立てにより、又は職権で、異議申立の目的となった処分に係る国税の徴収を猶予し、若しくは滞納処分の続行を停止し、又はこれらを命ずることができる。
A異議審理庁は、異議申立人が、担保を提供して、異議申立の目的となった処分に係る国税につき、滞納処分による差押をしないこと又は既にされている滞納処分による差押を解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、その差押をせず、若しくはその差押を解除し、又はこれらを命ずることができる。
(3)審査請求の場合の執行停止等
@国税不服審判所長は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立により、又は職権で、審査請求の目的となった処分に係る国税につき、徴収の所轄庁の意見をきいたうえ、その国税の徴収を猶予し、又は滞納処分の続行を停止することを徴収の所轄庁に求めることができる。
A国税不服審判所長は、審査請求人が、徴収の所轄庁に担保を提供して、審査請求の目的となった処分に係る国税につき、滞納処分による差押をしないこと又は既にされている滞納処分による差押を解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、徴収の所轄庁に対し、その差押をしないこと又はその差押を解除することを求めることができる。
B徴収の所轄庁は、国税不服審判所長から徴収の猶予等又は差押の解除等を求められたときは、審査請求の目的となった処分に係る国税の徴収を猶予し、若しくは滞納処分の続行を停止し、又はその差押をせず、若しくはその差押を解除しなければならない。