2-8 法人課税信託の受益者に関する消費税法の適用
[1]事業単位の特例
法人課税信託の受託者は、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等ごとに、それぞれ別の者とみなして、消費税法の規定を適用する。
ただし、納税義務者、信託財産に係る資産の譲渡等の帰属、納税地、引取りに係る課税貨物についての申告等その他一定の規定を除く。
この場合において、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等は、そのみなされた各別の者にそれぞれ帰属するものとする。
なお、個人事業者が受託事業者である場合には、その受託事業者は、法人とみなして、消費税法の規定を適用する。
[2]納税義務の免除の特例
(1)固有事業者の基準期間における課税売上高の特例
固有事業者のその課税期間に係る基準期間における課税売上高については、原則にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする。
@その固有事業者のその課税期間の基準期間における課税売上高として原則により計算した金額
Aその固有事業者の基準期間に対応する期間における受託事業者の課税売上高として一定の方法により計算した金額の合計額
(2)受託事業者の基準期間における課税売上高の特例
受託事業者のその課税期間に係る基準期間における課税売上高については、原則にかかわらず、その課税期間の初日の属するその固有事業者の課税期間の基準期間における課税売上高とする。
(3)受託事業者の納税義務の免除の特例
受託事業者のその課税期間の初日において、その固有事業者が、その初日の属するその固有事業者の課税期間(その基準期間における課税売上高が1千万円以下である課税期間に限る。)における課税資産の譲渡等につき、課税事業者選択届出書の提出(届出に関する特例を含む。)その他納税義務の免除の特例の規定により課税事業者に該当する場合には、その受託事業者のその初日の属する課税期間における課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。
(4)合併又は分割等若しくは吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例
法人課税信託の受託者について、合併又は分割等若しくは吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例の判定については、それぞれの法人の受託事業者としての課税売上高を加味して計算する。
[3]簡易課税制度の適用の特例
(1)受託事業者の簡易課税制度の適用の有無の判定
受託事業者のその課税期間の初日において、その固有事業者が、その初日の属するその固有事業者の課税期間につき簡易課税制度の規定の適用を受ける事業者である場合に限り、その受託事業者のその初日の属する課税期間については、簡易課税制度の規定を適用する。
(2)災害等があった場合の特例
(1)の固有事業者が、その初日の属するその固有事業者の課税期間につき災害等があった場合の簡易課税制度の届出に関する特例の規定の適用を受けた場合については、その初日においてその固有事業者が簡易課税制度の規定の適用を受ける事業者であったものとみなし、又は簡易課税制度の規定の適用を受ける事業者でなかったものとみなす。
なお、簡易課税制度の届出に関する特例の承認を受けた場合にも準用する。
[4]受託事業者の中間申告の特例
法人課税信託の併合は、合併とみなして中間申告の規定を適用する。
[5]受託事業者の税額控除等の特例
法人課税信託の併合は合併とみなし、分割は法人の分割とみなして仕入れに係る消費税額の計算その他の規定を適用する。
[6]受託事業者に対する不適用
受託事業者については、課税事業者選択届出書の提出その他納税義務の免除の特例、簡易課税制度選択不適用に関する取扱い、災害等があった場合の簡易課税制度の届出に関する特例及び各種の届出制度の規定は適用しない。
[7]用語の意義
(1)信託資産等
信託財産に属する資産及びその信託財産に係る資産等取引をいう。
(2)固有資産等
法人課税信託の信託資産等以外の資産及び資産等取引をいう。
(3)受託事業者
法人課税信託に係る信託資産等が帰属する受託者をいう。
(4)固有事業者
法人課税信託に係る固有資産等が帰属する受託者をいう。
(5)資産等取引
資産の譲渡等、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りをいう。