3-1 長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例

[1]長期割賦販売等を行った課税期間の取扱い
事業者が長期割賦販売等に該当する資産の譲渡等を行った場合において、その事業者が長期割賦販売等に係る対価の額につき所得税法又は法人税法に規定する延払基準の方法により経理することとしているときは、その長期割賦販売等のうちその長期割賦販売等に係る賦払金の額でその長期割賦販売等をした日の属する課税期間においてその支払期日が到来しないもの(その課税期間において支払を受けたものを除く。)に係る部分については、その事業者がその課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなして、その部分に係る対価の額をその課税期間におけるその長期割賦販売等に係る対価の額から控除することができる。

[2]翌課税期間以後の取扱い
[1]の規定により長期割賦販売等をした日の属する課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなされた部分は、その事業者がその長期割賦販売等に係る賦払金の支払期日の属する各課税期間においてそれぞれその賦払金(その課税期間中にその支払期日が到来する賦払金で、その課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けているものを除き、その課税期間の末日の翌日以後に支払期日が到来する賦払金で、その課税期間中に支払を受けたものを含む。)に係る部分の資産の譲渡等を行ったものとみなす。
ただし、所得税法又は法人税法に規定する延払基準の方法により経理しなかった場合には、次に掲げる課税期間以後の課税期間については、この限りでない。
(1)個人事業者……その経理しなかった年の12月31日の属する課税期間
(2)法人……その経理しなかった決算に係る事業年度終了の日の属する課税期間

[3]付記事項
延払基準の適用を受けようとする事業者は、確定申告書(その申告書に係る期限後申告書を含む。)にその旨を付記するものとする。

[4]延払基準の方法により経理しなかった場合
長期割賦販売等につき延払基準の適用を受けている事業者が所得税法又は法人税法に規定する延払基準の方法により経理しなかった場合には、その長期割賦販売等に係る賦払金の額で[2](1)又は(2)に掲げる課税期間の初日以後にその支払期日が到来するもの(これらの課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、その事業者がこれらの課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなす。

[5]特例の適用を受けないこととした場合
長期割賦販売等につき延払基準の適用を受けている事業者がその適用を受けることとした課税期間の翌課税期間以後のいずれかの課税期間においてその適用を受けないこととした場合([4]に該当する場合を除く。)には、その長期割賦販売等に係る賦払金の額でその適用を受けないこととした課税期間の初日以後にその支払期日が到来するもの(その課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、[2]にかかわらず、その事業者がその課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなす。

[6]納税義務の免除の規定の適用を受けることとなった場合等
長期割賦販売等につき延払基準の適用を受けている事業者が次に掲げる場合に該当することとなった場合には、その長期割賦販売等に係る賦払金の額でその該当することとなった課税期間の初日以後にその支払期日が到来するもの(その課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、[2]にかかわらず、その事業者がその課税期間の初日の前日において資産の譲渡等を行ったものとみなす。
(1)課税事業者から免税事業者に該当することとなった場合
(2)免税事業者から課税事業者に該当することとなった場合

[7]事業の廃止等の場合
(1)事業の廃止等の場合
長期割賦販売等につき延払基準の適用を受けている個人事業者が次に掲げる場合に該当することとなった場合には、その長期割賦販売等に係る賦払金の額でその該当することとなった課税期間の初日以後にその支払期日が到来するもの(その課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、[2]にかかわらず、その個人事業者がその課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなす。
@その個人事業者が死亡した場合において、その長期割賦販売等に係る事業を承継した相続人がないとき
Aその個人事業者(免税事業者を除く。)が死亡した場合において、その長期割賦販売等に係る事業を承継した相続人が免税事業者であるとき
Bその個人事業者(免税事業者に限る。)が死亡した場合において、その長期割賦販売等に係る事業を承継した相続人が課税事業者であるとき
Cその個人事業者がその長期割賦販売等に係る事業の全部を譲渡し、又は廃止した場合
(2)相続があった場合
長期割賦販売等につき延払基準の適用を受けている個人事業者が死亡した場合((1)A又はBに掲げる場合に該当することとなった場合を除く。)において、その長期割賦販売等に係る事業を承継した相続人が継続して延払基準の方法により経理することとしているときは、その相続人が資産の譲渡等を行ったものとみなして、[2]の規定を適用する。
(3)合併又は分割があった場合
(1)、(2)の規定は、その法人が合併により長期割賦販売等に係る事業を合併法人に承継させた場合又はその法人が分割により長期割賦販売等に係る事業を分割承継法人に承継させた場合について準用する。

[8]個人事業者の延払条件付譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
個人事業者が所得税法に規定する延払条件付譲渡を行った場合において、その個人事業者がその延払条件付譲渡に係る所得税の額の全部又は一部につき延納の許可を受けたときは、その延払条件付譲渡に係る賦払金については、[1]〜[7]の規定を準用する。

[9]公共法人等の長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例
法人税法の規定の適用を受けない法人が長期割賦販売等を行った場合において、その法人がその長期割賦販売等に係る対価の額につき延払基準の方法又はこれに準ずる方法により経理することとしているときは、その法人が法人税法に規定する延払基準の適用を受けるものとみなして、[1]〜[7]の規定を適用する。

[10]リース取引の取扱い
[1]の延払基準の方法が所得税法施行令若しくは法人税法施行令に規定するリース延払基準の方法である場合又は事業者が所得税法若しくは法人税法に規定するリース譲渡に係る資産の譲渡等を行った場合において、その事業者がこれらのリース取引につきこれらの規定の適用を受けるときは、それぞれの年の総収入金額に算入される収入金額又はそれぞれの事業年度の益金の額に算入される収益の額に係る部分については、[1]〜[7]の規定を準用する。