3-2 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例

[1]引渡し課税期間前の取扱い
(1)長期大規模工事の請負
事業者が長期大規模工事の請負に係る契約に基づき資産の譲渡等を行う場合には、その長期大規模工事の目的物のうち所得税法又は法人税法に規定する工事進行基準の方法により計算した収入金額又は収益の額に係る部分については、その事業者は、@又はAに掲げる課税期間において資産の譲渡等を行ったものとすることができる。
@個人事業者……その収入金額が総収入金額に算入されたそれぞれの年の12月31日の属する課税期間
A法人……その収益の額が益金の額に算入されたそれぞれの事業年度終了の日の属する課税期間
(2)工事の請負
事業者が工事(長期大規模工事を除く。)の請負に係る契約に基づき資産の譲渡等を行う場合において、その事業者がその工事の請負(損失が生ずると見込まれるものを除く。)に係る対価の額につき所得税法又は法人税法に規定する工事進行基準の方法により経理することとしているときは、その工事の目的物のうちその方法により経理した収入金額又は収益の額に係る部分については、その事業者は、(1)@又はAに掲げる課税期間において資産の譲渡等を行ったものとすることができる。
ただし、所得税法又は法人税法に規定する工事進行基準の方法により経理しなかった場合又は損失が生ずると見込まれるに至ったことその他一定の事由が生じた場合には、次に掲げる課税期間以後の課税期間については、この限りでない。
@個人事業者……その経理しなかった年又はその事由が生じた日の属する年の12月31日の属する課税期間
A法人……その経理しなかった決算に係る事業年度又はその事由が生じた日の属する事業年度終了の日の属する課税期間

[2]引渡し課税期間の取扱い
[1]の規定の適用を受けた事業者がその長期大規模工事又は工事(以下「特定工事」という。)の目的物の引渡しを行った場合には、その特定工事の請負に係る資産の譲渡等のうち、その着手の日の属する課税期間からその引渡しの日の属する課税期間の直前の課税期間までの各課税期間において資産の譲渡等を行ったものとされた部分については、同日の属する課税期間においては資産の譲渡等がなかったものとして、その部分に係る対価の額の合計額をその特定工事の請負に係る対価の額から控除する。

[3]付記事項
工事進行基準の適用を受けようとする事業者は、確定申告書(その申告書に係る期限後申告書を含む。)にその旨を付記するものとする。

[4]相続、合併又は分割があった場合
(1)相続があった場合
特定工事の目的物につき工事進行基準の適用を受けている個人事業者が死亡した場合において、その特定工事の請負に係る事業を承継した相続人がその特定工事の目的物の引渡しを行ったときは、その個人事業者が資産の譲渡等を行ったものとされた部分については、その相続人が資産の譲渡等を行ったものとみなして、[2]の規定を適用する。
(2)合併又は分割があった場合
(1)の規定は、その法人が合併により特定工事の請負に係る事業を合併法人に承継させた場合又はその法人が分割により特定工事の請負に係る事業を分割承継法人に承継させた場合について準用する。

[5]公共法人等の特定工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
法人税法の規定の適用を受けない法人が特定工事の請負に係る契約に基づき資産の譲渡等を行う場合において、その法人がその特定工事の請負(工事の請負にあっては、損失が生ずると見込まれるものを除く。)に係る対価の額につき工事進行基準の方法又はこれに準ずる方法により経理することとしているときは、その法人が法人税法に規定する工事進行基準の適用を受けるものとみなして、[1]〜[4]の規定を適用する。