7-1 仕入れに係る消費税額の控除(控除の特例及び消費税額の調整に関する規定を除く。)
[1]仕入れに係る消費税額の控除
事業者(免税事業者を除く。)が、国内において行う課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次に掲げる区分に応じそれぞれに定める日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、その課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(その課税仕入れに係る支払対価の額に4/105を乗じて算出した金額。以下同じ。)及びその課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下同じ。)につき課された又は課されるべき消費税額(附帯税の額に相当する額を除く。以下同じ。)の合計額を控除する。
(1)国内において課税仕入れを行った場合……その課税仕入れを行った日
(2)保税地域から引き取る課税貨物につき申告納税方式に係る申告書(特例申告書を提出する場合を除く。)又は賦課課税方式に係る申告書を提出した場合……その申告に係る課税貨物(一般申告課税貨物)を引き取った日
(3)保税地域から引き取る課税貨物につき特例申告書を提出した場合(その特例申告書に記載すべき金額につき決定があった場合を含む。)……その特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日
[2]課税売上割合が95%未満の場合
[1]に掲げる課税期間における課税売上割合が95%に満たないときは、[1]により控除する課税仕入れに係る消費税額及び保税地域からの引取りに係る課税貨物につき課された又は課されるべき消費税額(以下「課税仕入れ等の税額」という。)の合計額は、[1]にかかわらず、次のいずれかの方法により計算した金額とする。
(1)個別対応方式
@適用要件
その課税期間中に国内において行った課税仕入れ及びその課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物につき、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにその区分が明らかにされていること。
なお、上記区分が明らかにされている場合であっても、(2)の一括比例配分方式により控除される課税仕入れ等の税額の合計額を計算することができる。
A計算方法
次の(イ)に掲げる金額に(ロ)に掲げる金額を加算する方法
(イ)課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等の税額の合計額
(ロ)課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額
B課税売上割合に準ずる割合
(イ)内容
個別対応方式による場合において、課税売上割合に準ずる割合(その割合がその事業者の営む事業の種類又はその事業に係る費用の種類の異なるごとに区分して算出したものである場合には、それぞれの割合)で次に掲げる要件のすべてに該当するものがあるときは、その事業者の次の[ロ]の承認を受けた日の属する課税期間以後の課税期間については、A(ロ)の金額は、課税売上割合に代えて、その割合を用いて計算した金額とする。
ただし、課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書を提出した日の属する課税期間以後の課税期間については、この限りでない。
[イ]その割合がその事業者の営む事業の種類又はその事業に係る費用の種類に応じ合理的に算定されるものであること。
[ロ]その割合を用いてA(ロ)の金額を計算することにつき、その納税地の所轄税務署長の承認を受けたものであること。
(ロ)申請書の提出
この承認を受けようとする事業者は、課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(ハ)承認又は却下
税務署長は、申請書の提出があった場合には、遅滞なく、これを審査し、その申請につき承認し、又はその申請を却下する。
(ニ)承認の取消し
税務署長は、(ハ)の承認をした後、一定の事情が生じたと認める場合には、その承認を取り消すことができる。
(ホ)通知
税務署長は、(ハ)、(ニ)の処分をするときは、その処分に係る事業者に対し、書面によりその旨を通知する。
(2)一括比例配分方式
@計算方法
その課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法
A個別対応方式への変更の制限
一括比例配分方式により計算することとした事業者は、その方法により計算することとした課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間においてその方法を継続して適用した後の課税期間でなければ、個別対応方式により計算することはできない。
[3]書類の保存
(1)適用要件
[1]の規定は、事業者がその課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円未満である場合、又は、3万円以上である場合において、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときにおけるその課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、その保存がない課税仕入れ等の税額については、適用しない。
ただし、災害その他やむを得ない事情により保存をすることができなかったことをその事業者において証明した場合は、この限りでない。
(2)保存期間
その帳簿については閉鎖の日、その請求書等については受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2月(清算中の法人について残余財産が確定した場合には、1月。以下同じ。)を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存しなければならない。
なお、課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から5年を経過した日以後の期間における保存については、帳簿又は請求書等のいずれかの保存によることができる。
[4]用語の意義
(1)課税売上割合
次の@に掲げる金額のうちにAに掲げる金額の占める割合をいう。
@その事業者がその課税期間中に国内において行った資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額から、その課税期間中に国内において行った資産の譲渡等に係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
Aその事業者がその課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額から、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
(2)課税仕入れ
事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け(資産に係る権利の設定その他他の者の資産を使用する一切の行為を含む。)、又は役務の提供を受けること(その他の者が事業としてその資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又はその役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもの)をいい、次に掲げるものを除く。
@所得税法に規定する給与等を対価とする役務の提供
A輸出免税等の規定により消費税が免除されるもの
(3)課税仕入れに係る支払対価の額
課税仕入れの対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、その課税仕入れに係る資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は役務を提供する事業者に課されるべき消費税額及びその消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額(附帯税の額に相当する額を除く。)に相当する額を含む。)をいう。
(4)保税地域からの引取りに係る課税貨物
保税地域から引き取った一般申告課税貨物又は特例申告書の提出若しくは特例申告に関する決定に係る課税貨物をいう。