7-7 課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整

[1]課税売上割合が著しく変動した場合
(1)内容
事業者(免税事業者を除く。)が国内において調整対象固定資産の課税仕入れを行い、又は調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引き取り、かつ、これらの課税仕入れ等の税額につき比例配分法により仕入れに係る消費税額を計算した場合(課税売上割合が95%以上であることにより課税仕入れ等の税額の全額が控除された場合を含む。)において、その事業者(相続、合併及び分割によりその調整対象固定資産に係る事業を承継した者を含み、これらの者のうち免税事業者を除く。)が第3年度の課税期間の末日においてその調整対象固定資産を有しており、かつ、第3年度の課税期間における通算課税売上割合が仕入れ等の課税期間における課税売上割合(課税売上割合に準ずる割合の適用を受けた場合には、その割合。以下同じ。)に対して著しく増加又は減少した場合として(2)に該当するときは、(3)に掲げる金額をその者のその第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額に加算又は控除する。
この場合において、その加算又は控除後の金額をその課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。
(2)課税売上割合が著しく変動した場合
@著しく増加した場合
次の(イ)と(ロ)を同時に満たす場合をいう。
(イ)通算課税売上割合-仕入れ等の課税期間における課税売上割合/仕入れ等の課税期間における課税売上割合≧50%
(ロ)通算課税売上割合-仕入れ等の課税期間における課税売上割合≧5%
A著しく減少した場合
次の(イ)と(ロ)を同時に満たす場合をいう。
(イ)仕入れ等の課税期間における課税売上割合-通算課税売上割合/仕入れ等の課税期間における課税売上割合≧50%
(ロ)仕入れ等の課税期間における課税売上割合-通算課税売上割合≧5%
(3)加算又は控除する金額
@著しく増加した場合……(ロ)-(イ)
A著しく減少した場合……(イ)-(ロ)
(イ)調整対象基準税額×仕入れ等の課税期間における課税売上割合
(注)仕入れ等の課税期間において課税売上割合が95%以上であることにより課税仕入れ等の税額の全額が控除された場合には、調整対象基準税額
(ロ)調整対象基準税額×通算課税売上割合
(4)消費税額の加算
課税売上割合が著しく減少した場合において、(3)Aの金額をその第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額から控除して控除しきれない金額があるときは、その控除しきれない金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなしてその第3年度の課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。

[4]用語の意義
(1)調整対象固定資産
棚卸資産以外の資産で、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産のうち、その資産に係る課税仕入れに係る支払対価の額の100/105に相当する金額又は保税地域から引き取られるその資産の課税標準である金額が、一取引単位につき100万円以上のものをいう。
(2)比例配分法
個別対応方式により課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法又は一括比例配分方式をいう。
(3)第3年度の課税期間
仕入れ等の課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいう。
(4)仕入れ等の課税期間
調整対象固定資産の課税仕入れの日又は保税地域からの引取りの日(特例申告書を提出した場合には、その特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)の属する課税期間をいう。
(5)通算課税売上割合
仕入れ等の課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間において適用されるべき課税売上割合を通算した課税売上割合をいう。
(6)調整対象基準税額
第3年度の課税期間の末日において有する調整対象固定資産の課税仕入れ又は課税貨物に係る消費税額をいう。