1 商法会計の目的
商法は、企業をめぐる個々の経済主体相互間の利害調整をそもそもの目的としており、そのため次の二つの課題(目的)が導かれる。
@債権者保護のための債権担保力の保全
A株主保護のための受託資本の管理・運用状況の開示
上記@は、最終的には配当可能利益の限度額計算規定に集約され、Aは商法施行規則を通じて実現される。
株主は、株主総会を通じ会社の経営に参加できるばかりか、出資額を限度とした有限責任を有するに過ぎない。株主と債権者の間で利害が対立しているが、債権者は株主に比して弱い立場に立たされているため、商法は債権者を保護する立場をとっている。