3 資本・利益区別の原則の要請内容
(1)資本と利益の区別の必要性
資本と利益の区別が必要なのは、正しい期間利益を算定するためである。維持すべき資本とその運用の結果生ずる利益を明確に区別することにより、適正な期間損益計算を行うことができるようになる。
(2)資本と利益を混同した場合
資本と利益を混同すれば、利益が過大または過小となり、企業の財政状態及び経営成績が適正に示されないことになる。
特に資本が利益に転化した場合には、資本の一部が配当や法人税の形で社外に流出することになり、継続企業としての維持が保てなくなる。
例えば、新株発行による株式払込剰余金から新株発行費用を控除することは許されない。
株式払込剰余金は株主からの資本の払込を意味する資本剰余金であり、資本取引に属するのに対し、新株発行費用は一般に償却を通じて費用化するものであり、損益取引に属するものであるから、両者を相殺すると資本が利益に転化することになり、資本の食い潰しないし利益の過大計上を生ずる。