3 重要な会計方針・重要な後発事象の開示
(1)重要な会計方針
@会計方針の定義
会計方針とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。
会計方針の例としては、次のようなものがある。
イ 有価証券の評価基準及び評価方法
ロ たな卸資産の評価基準及び評価方法
ハ 固定資産の減価償却方法
ニ 繰延資産の処理方法
ホ 外貨建資産・負債の本邦通貨への換算基準
ヘ 引当金の計上基準
ト 費用・収益の計上基準
代替的な方法が認められていない場合には、重要な会計方針の注記を省略することができる。
A開示することの有用性
重要な会計方針を注記事項として開示するのは、財務諸表が作成された前提又は基礎を明らかにするためである。すなわち、1つの会計事実について2つ以上の方法が認められている場合、どの方法をとるかによって損益の額等が異なるため、会計方針を開示することによって、財務諸表の理解を助けるのである。
(2)重要な後発事象
@後発事象の定義
後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。
重要な後発事象の例としては、次のようなものがある。
イ 火災、出水等による重大な損害の発生
ロ 多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還
ハ 会社の合併、重要な営業の譲渡又は譲受
ニ 重要な係争事件の発生又は解決
ホ 主要な取引先の倒産
A開示することの有用性
重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用である。