3 取得原価主義の論拠
現行の制度会計は、投下資本の期間計算的な回収余剰の意味における分配可能利益の計算構造を基盤としているが、資産を取得原価(投下額)で評価することは、算出される利益が、投下された貨幣資本を維持したうえでの回収余剰、すなわち分配可能利益としてあらわれるため取得原価主義が採用される。また、取得原価主義は資産を資本投下額に基づいて評価することになるため、評価益(未実現利益)の計上を許さないという点で実現主義による収益の認識と表裏一体の関係にある。
さらに、取得原価主義は、その会計数値を実際の取引価額に基づいて算定されるものであるから、会計数値の検証可能性及び客観性を有している。