2 有価証券の貸借対照表価額の決定及び評価差額の取扱い

(1)売買目的有価証券
売買目的有価証券については、投資者にとっての有用な情報及び企業にとっての財務活動の成果は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられるため、時価をもって貸借対照表価額とする。
また、売買目的有価証券は、売却することについて事業遂行上等の制約がないものと認められることから、その評価差額は当期の損益として処理する。
(2)満期保有目的の債券
満期保有目的の債券については、満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており、満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないことから、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
また、償却原価をもって貸借対照表価額とするのは、金利相当額を適切に各期の財務諸表に反映させることが必要であるためである。
(3)子会社株式及び関連会社株式
子会社株式及び関連会社株式は、他企業への支配又は影響力を行使するために保有するものであり、事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは捉えないという考え方に基づき、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
(4)その他有価証券
その他有価証券は、保有目的が明確に認められない有価証券であり、多様な性格を有しているが、保有目的等を識別・細分化する客観的な基準を設けることが困難であること等から、売買目的有価証券と子会社株式及び関連会社株式との中間的な性格を有するものとして一括して捉えることが適当である。したがって、金融資産の評価に関する基本的考え方に基づき時価をもって貸借対照表価額とする。
また、その他有価証券については、事業遂行上等の必要性から直ちに売買・換金等を行うことには制約を伴う要素もあり、評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではないと考えられるため、その評価差額については、洗い替え方式に基づき、全部資本直入法又は部分資本直入法のいずれかの方法により処理する。
(5)市場価格のない有価証券
市場価格のない有価証券については、客観的な時価を把握することができないため、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
なお、市場価格のない債券については、債権に準じて、取得原価又は償却原価から貸倒引当金を控除した金額をもって貸借対照表価額とする。