1 低価法
(1)低価法の定義
低価法とは、取得原価と期末時価とのうちいずれか低い価額をもって期末評価額とする方法である。ここで、原価と比較すべき時価とは、取替原価(再調達原価)と純実現可能価額(正味実現可能価額)を指す。
(2)低価法の論拠
低価法が支持される根拠としては、予想の損失の前取りを正当化する保守主義の観点からの理由をあげるのが一般的である。
また、原価配分に論拠を求める考え方、すなわち、原価配分の精緻化の過程として低価法の適用をとらえる考え方がある。
(3)低価法の適用方法
@切り放し方式
切り放し方式とは、前期末に時価により資産評価をした場合に、前期末における評価切下げ後の簿価を時価と比較すべき原価とすべき方法である。
A洗い替え方式
洗い替え方式とは、評価切下げ前の取得原価を時価と比較すべき原価とする方法であり、簿価いかんにかかわらず、常に原始取得原価を時価と比較する方法である。
(4)低価法の短所
低価法を適用すると、期間損益の比較性が損われる結果となる。