平田鳥閑先生個展の作品と風景 書籍は、毎日新聞社北海道支社刊 毎日新聞に約8年間掲載した「書のひととき」というコラムをまとめたもの。  

       
       
       
       
 

会場風景と作品の一部を載せてみました。私としては、よかったものだけをピックアップしてみました。
後で見ると、発行した書籍がよかった。もう売り切れたらしいが、本の中でも、平田鳥閑先生の御尊父の葉書に感動しました。
百姓の父。小学校しか出ていない。本当なのかという思いで拝見し、後日先生のお宅にお邪魔し、実物を見せていただきました。
そのときの様子は、後日アップします。
と言いつつアップしてしまいました。



平田仲次郎(鳥閑先生の御尊父)の筆跡

       
 奥様と先生と回歸  黒身赤無(ちょっと反射)  別角度  金子鷗亭先生の横額
    (葉書1)

 本日赤石先生よりも御喜
びのご通知頂き 何より
よろこびと致して居りま須
此度の準大賞の頂けましたの
も先生の特段のご指導故と
先生にも御礼 申上ました
此後も真面目に御精進
下されたし





(葉書2)

日頃ハ大ぶん暖かく成りました
お前も御無事の由何より
です とめも九日退院
致しましたが まだ(多)弱
くて困つて居ります
右御知らせまで
 
 床の間の御尊父の作(生死一如)  出版した書籍中の葉書1     出版した書籍中の葉書2


 上の葉書1・2で、益々書道の奥深さを知った。

 正直、粗雑な飾りのない文字である。だが、迷いがない筆致といえる。何故この様に書けるのか?私には難しい。いや、書けない。

 本当に、小学校しか出ていない、農夫の文字なのか?書道を50年も勉強していてもまだこの筆致に達しない私は、ただただ恥じるばかりである。


 訪問した折りに、金子鷗亭先生の葉書と手紙を拝見したが、金子鷗亭先生の手は、蘭亭の清流に遊ぶ如き筆であった。魅力もある。

 金子先生の書は、気持ちが穏やかになり、良い気持ちで昼寝をしたくなる。しかし・・・・


 この葉書はまるで違う。背景には、土にまみれた手があり、生活がある。平田先生の父上の手は、脈拍が高鳴る。

 はっと起き上がり、自分はまだ、あれも、やっていない。これも、やっていない。早く仕上げなくては、というような自らの生活をふり返させられるような迫力がある。

 書道を勉強していてよかった。この葉書の魅力を理解できた。ただ感謝あるのみである。


金子鷗亭先生の手紙と葉書は、後日、平田先生の許可を得て、掲載致します。


平成27年3月 記