[TV用高耐圧3極管6BK4A/Bを使った放電スピーカーの実験]
更新日:2022.9.15

【警告】
 先ずこの実験では下記の危険が伴います。製作や実験を行うにあたって重大事
故を引き起こした場合、全て自己責任となる事を御理解下さい。
また、あくまでも実験結果としての公開で、実験・製作を推奨するものではあり
ません。

 @危険な高圧電源を使用する。
   この6BK4A/Bと真空管は高圧:24000Vを掛けて動かす真空管で、1mA電流
  が流せます。使用する高圧電源によっては感電した場合、死ぬ危険があり
  ます。
 AX線が出る。
   技術書によると高圧印加時に X線(つまり放射線)を出すとあり、遮蔽
  物が無い状態で使用すると人体に害をなします。
   実際に一般家庭のTV受像機に使われていますが、6BK4A/B をシールドで
  囲って取り付けられて安全性を確保する様になっています。
 Bオゾンが発生する。
   密閉された空間でオゾン濃度が濃くなると人体に影響がでます。換気を
  良くした状態で、長時間の通電は避けるべきです。

 もし、実験に挑む場合は以上の事を踏まえ、十分対策をとった上、全て自己責 任の範囲で行って下さい。
                              眞空管のへそ                           
【参考文献】 日立評論1967年7月号:カラーテレビ受信機の高輝度化に対する諸問題 放射線防護分科会会誌2003年 16巻 P.13
【お断り】    危険を伴う実験に対して批判を浴びせる風潮もあり躊躇もありましたが、検証不可の似非   科学が横行してまかり通ってる風潮にもうんざりさせられてるので、思い切って公開する事   にしました。    正しい知識を身に着けると伴に倫理観やモラルを養って頂ければ幸いです。
【序】    ジャンク真空管を入手する機会があったので、面白い球はないかと探っていたところ高圧   整流管みたいな高耐圧型の電極構造を持った大きめの球 6BK4Bが出てきました。   これは何だという事で型番からデータシートを探してみると「Beam Triode」の文字が。    えっ?ビーム3極管?。。    興味津々で更にデータシートを読み進めてみると、   どうも、TVのフライバックトランス出力をシャントレギュレートするための真空管で、プレ   ート耐圧がなんと27000V!!アプリケーション回路によれば出力は25000V、1mA 取り出せる   とあります。何用の球なのかと言うとTVのブラウン管に使う高圧回路用の球で、真空管時代   のTVには当たり前の様に使われていました。    TV用真空管に興味がなかったので、こんな真空管があったのかと今更ながらの驚いてるわ   けですが。。。    面白い真空管ではあるけど、真空管TV以外に使い道はないし、使える電源も無いと思い   いましたが、10kVの電源なら持ってるじゃないかと。。。取り敢えず高圧印加は出来る。。   ふと、変な事を思いつきました。。。もしかしてこいつで放電スピーカーが作れる?という 事で実験開始です。 【放電スピーカー】    ツィッターで若い人達がテスラコイルと呼ばれる高圧発生器で放電実験をやっているのを   よく目にするようになりました。その中で、そのテスラコイルに音声信号を乗せて気中放電   から音を出す動画を見たのが本実験のきっかけとなっています。    手っ取り早く実験するのであればaitendoでもプラズマスピーカキット [K-TSL930SPK]が売   られていますので、そちらを利用してみて下さい。    【6BK4B】    高圧整流管との比較画像です。両端が高圧整流管、真ん中の2本の内左が日立製の6BK4A、   右が松下の6BK4Bです。日立製の方は使われた形跡がなく、新品と思われます。いずれも、   高圧管ならではの円筒形のプレート電極で普通の真空管にはない不思議な形状ですね。    サフィックスの-Aと-Bの違いは良く解りませんが、ネットで調べてみると-BはX線対策を   施した改良品との情報もある様です。
【高圧電源】
   この高圧電源は昔デジットで購入したもので、+7.5kVと、-2.5kVの2出力です。 買ったは   良いもののさすがに10kV近く出力がでるので通電が怖くて放置していました。    何を隠そう、その昔TVの24kVに感電した事がありまして。。    近年発掘した際に放電実験を行うとかなり距離の長い放電が出来、10kVは違うなぁと。。   幸いにもこちらは2〜3Wくらいの出力なのでフライバックトランスより弱く、比較的安全   です。
【回路】    6BK4Bのデータシートには高圧用のシャントレギュレータ回路が掲載されています。   それによるとカソードに200Vくらい掛かっており、かさ上げしないと使えないのかと思って   いたら、グリッドのバイアスは -1V〜-2V程度でも使える様で、そこいらの受信用の3極管と   変わらないレベルで、ドライブ可能ですので音声信号を直接入れてドライブは可能です。
  6BK4Bのプレートを電源に直接接続せず放電路を設けそこをスピーカーとします。   電流がどれくらい流れるのか解らなかったので1mAと仮定しグリッドのバイアスが-1Vとなる   様、1kΩを設定しました。    この状態でも直接音声信号を入力しても音は出るはずですが、高圧の掛かった回路に他の   機器を直結するのは嫌なので、前段に12AU7でSRPP回路を設けました。   このため、300Vの電源を用意しています。最終的には下記回路となりました。
   この回路の胆は 6BK4Bのプレートに線が繋がっていないというところでして、ギャップを   設け放電させています。真空管に直接音声信号を載せて放電をドライブしようと言うわけで   す。果たしてこの目論見はうまくいくでしょうか?。。。
【実験】    先ず300Vとヒーターの電源を投入し、音源に繋げます。音源はパソコンですが、事故った   らパソコンもろとも高圧が印加されるので、間違えの無いよう慎重に行います。    次に高圧発生器の電源を投入します。木片の上に乗せているのは6BK4Bの回路のGNDに繋い   でいるのが-2500Vだからで、高圧電源のGNDと本体のGNDは電位が異なります。    恐る恐る高圧電源を投入、放電が始まります。音楽を再生すると。。。おおっ!音が出ま   した!! 放電によるノイズと音割れは酷いですが、確かに音が聞こえます。これは面白い。
   いろいろ試した結果放電部分はなるべく鋭利なスズメッキ線がよく、放電がばらけると音   が悪くなります。と言ってもノイズが凄まじく、音は微かに聞こえる程度です。    この状態でバイアス抵抗が1kΩグリッドのバイアスは0.15V〜0.2V程度で、プレート電流   0.15mA〜0.2mAだったので、バイアス抵抗を1kΩから5.1kΩに上げました。これで、-0.4V程   度となり音質が少し良くなりました。電源に合わせて調整が必要です。    電源電圧を2万Vまで上げ、 1mA程度流したいですが、そのためにはフライバックトランス   が必須で危険度は増します。フライバックトランスも入手困難なので先ずはここまでの実験   として締めくくりたいと思います。    自分としては使い様が無いと思われた6BK4が動く様子が拝めたのと、プレート電極に放電   させる変な回路が試せたという処で大満足です。  最後にこの様子を動画にしましたのでYoutubeにアップしておきます。
                                <完>

戻る