[Ed Single]
 E80CC-E80CC-Ed-F2006-Z2c
   更新日:2003.5.25



 見てのとおりの伊藤喜多男さんのEdアンプをそのままコピーし製作した物です。
数年前、某オーディオショップに行った時、店主に「Edって未だかつて現物を見た
ことが無い」と話すと、あっさり「有るよ、見たい?」との答え。。。
 数日後、札束は消え、手にはこの球が。。。          閑話休題

  アンプの設計についての説明は要らないと思いますが、全てSIEMENSの球でステ
レオ分をコンパクトなアンプにまとめようと考えた場合、伊藤喜多男さんのデザイ
ンをデッドコピーする以外手が無い事が分かりました。例えば、音質的に良いと言
われるトランス結合を採用した場合、巨大なシャーシに組むか、モノラルを2台作
る必要が出てきます。
 ドライバー管についてもも日本で入手できる SIEMENSの球でゲインと外観で適合
するのはE80CCしかない事が分かりました。 E80CCはMT管で有りながらも背が高く、
Edと並べた時に不思議とマッチします。

ソケットの自作
  Edのベースは特殊な7pin仕様となっており、専用のソケットが必要です。
いろいろと探して見たものの、自分のフィーリングに合った物がありませんでした。
  Edや F2aの様なセラミックベースの場合、ピンを固定する部分に遊びがないと熱
による膨張収縮でピンに負担がかかり、セラミックベースにクラックが入る恐れが
あります。結局、ソケットは自作しました。

シャーシ
 秋葉原の老舗、鈴蘭堂にシャーシを特注の見積もりをお願いして見たところ、覚
悟していた値段を遥かに上回る金額を言われてしまいました。。。
既製品と寸法が異なるため、材料の準備から、工程に至るまで全て特注扱いとなり、
その分人件費がかさむそうです。(応対をしてくれた方は伊藤喜多男さんの知り合
いだった方で、キャッシュカードを渡されて特注シャーシを作らされたとか。)
もちろん、他に特注シャーシを扱って店もありますし、セミオーダーにすることも
出来ましたが、「乗りかかった船」なので特注(フルオーダー)しました。
 1ヶ月後、電話があり受け取りに行ってみたところ見事なシャーシが出来上がっ
ていました。あまりの素晴らしい仕上がりに組み立てるのが勿体ないくらいでした。
 ちなみに、穴開け加工の寸法指定は丁度にするとはまらなくなる恐れがあるので
オーダー時は0.5mm大きめに指定するとちょうど良いでしょう。

電源トランス
 欧州管のヒーター規格は4Vであるため、4Vタップが有る電源トランスを探さ
ねばなりません。しかも、整流管 Z2cのヒーターの規格は4V、4Aととんでもな
い規格になっていてEdに繋げる4Vタップを含めるとタップが3つ必要です。
これは、市販の電源トランスの仕様を考えると非常に頭の痛い話です。
そこで、「MY HANDY CRAFT」(注:参考文献)に掲載されているアンプは一体どうや
っているのだろう? と確認してみると。。。むむ。。インチキだぁ〜!!
PC-3004の4V−3AのタップにZ2cのヒーターが接続されています。
 
 出力トランスはタムラのF2006と決めていましたので電源トランスはPC-3000シリ
ーズの中で決めねばなりません。トランスの特注が可能かどうかあたってみたとこ
ろ最低でも10個からだと言われ断念し、PC-3004を採用しました。


 さて、近年はSOVTEK 2A3や各種300Bなど良く出来た直熱管が非常に安い価格で
売られています。 これらの球がEdのようなバカ高い球の音質にどれくらい肉迫
できるのかは多いに興味のあるところです。

【参考文献】 ・「MY HANDY CRAFT」別冊ステレオサウンド           伊藤流 アンプ指南 解脱篇 Edシングル・ステレオパワーアンプ 伊藤喜多男著 ・無線と実験 1977.3月号 誠文堂新光社 原典版 AD1シングル5W増幅器       浅野 勇著 ・無線と実験 1980.1月号 誠文堂新光社 シーメンスEdシングル・アンプの設計と製作 渡辺直樹著 ・無線と実験 1981. 月号 誠文堂新光社 Edプッシュプルパワーアンプ(トランス結合) 伊藤喜多男著 ・無線と実験 1984.3月号 誠文堂新光社 Ed P.P.モノーラルパワーアンプの設計と製作 伊藤喜多男著 ・無線と実験 1986.5月号 誠文堂新光社 Ed P.P.パワーアンプの設計と製作      伊藤 学著  

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