△COLUMN△
▲トゥーンVSリアル[2004.3.8] 2002年12月13日にGCソフトとして発売された、「ゼルダの伝説 風のタクト」は、当時ゲームとしては珍しいトゥーンシェーディングという、3D技術が使用された。これは、3Dのモデルにセルアニメのような効果をつけてレンダリングする技術で、アニメのような温かみのある表現が可能になる。 しかし、2001年8月に開催されたNINTENDO SPACE WORLDで「ゼルダの伝説」の次回作が、トゥーンシェーディングの技術による二頭身のアニメであると発表されたとき、全世界で賛否両論が巻き起こり。批判の声が圧倒的であった。なぜなら、全世界で大ヒットしたN64の「時のオカリナ」や、その続編の「ムジュラの仮面」が、そのリアルなグラフィックやダークな世界観から、大多数の人に「ゼルダ=カッコイイ」というイメージを与えていたからである。現に、任天堂は前年のNINTENDO SPACE WORLDで、次回作のイメージ映像として「時のオカリナ」のグラフィックを進化させたような、「リアル」な表現の「ゼルダ」を公開している。では何故、「風のタクト」の開発スタッフは、冒険ともいえるトゥーンシェーディングを採用を決定したのだろうか? 恐らく「風のタクト」でのトゥーン採用は、現在のゲーム業界のリアル表現の台頭に、警鐘をならす意味合いも含まれていたと考えられる(もちろん他の理由もあると思うが・・・) しかし、「ゼルダ」は前述のように「時のオカリナ」以降「ダークでカッコイイ」というイメージが日本国内はもちろん、米国などの海外でも、広がり、人気を集めた。このようなイメージは、従来の任天堂のソフトとしては珍しく、そしてとても貴重なものであったはずだ。しかし、そのイメージが、タクトでのトゥーン採用により少なからず低下したことは間違いない。確かに現在のリアル表現の台頭には、見かけだけに捉われて内容がないがしろにされやすい。などの、悪い部分も少なからずあるが、なにも悪い部分ばかりではないのではないだろうか? トゥーンシェードでのアニメ調の表現には向き不向きがある。そして、「ゼルダの伝説」がトゥーンシェ−ドに向いていたかは、ひとそれぞれプレイしてみて意見が分かれるところだろう。実際、「風のタクト」は非常に良くできたゲームだと思う。もちろん、欠点が無いわけではないが(トライフォース集めなど)。しかし、これまでのイメージを崩してまで表現したかったものとは思えない。むしろ、この「風のタクト」のトゥーン技術を用いて、「マリオ」を作ったほうがインパクトがアあったのではないか?と考えてしまう。
自分にとってゼルダとはキラータイトルのひとつである。すなわち、それはハードを買ってまで欲しいと思わせてくれる、数少ないゲームのひとつということだ。今後も「ゼルダ」を買い続けていくだろう。
最後に、余談だが今回の「風のタクト」は、「ゼルダ」の生みの親である宮本氏は、あまり関与していないといわれている。そして、トゥーンを提案したのも開発側であった。しかし決定を下す立場の宮本氏は最後まで「リアルなゼルダ」を捨て切れなかったそうだ。最終的には、宮本氏も納得したからOKがでたのだろうが、この話は「リアル派」には心強い話だ。GCで発売が予定されている、「ゼルダ」の新作は恐らく、「風のタクト」のスタッフによる、「風のタクト」のグラフィックエンジンを用いたものだと考えられる。むしろ、ここで「リアル」になったら優柔不断でそれこそ信用を失いかねない。
(2006/4/4 追記) |