汽車旅
旅で出会った人々
〜回想録〜
「一期一会」という言葉が好きです。
本来は茶の世界から来た言葉ですが、
旅にも当てはめることができるような気が
するのです。

「袖触合うも他生の縁」という言葉もあります。
人との出会いを求めて旅に出るわけではなく
とも、人と出会うことは一つの縁といえるので
しょう。

旅先で出会い、言葉を交わした人々。たった
一度きりの、ほんの一瞬の出会いでも、もう
二度と会うことはなくても、過去から未来へ
旅の記憶として残る「人」を中心に回想します。
全く人と言葉を交わさない旅もあります。
反対に、無性に会話がしたくて、周りにいる人
に話しかける旅もわずかながら、あります。

四六時中話をしているわけではないからこそ
旅先で話をした人は記憶に残りやすいのだと
思います。

老若男女を問わず、「いい人」は多くいました。
しかし、それは旅の間だからだと思うので、
“お近づき”になりたいとまでは思いません。

旅先での出会いこそ一期一会だと思ってます。
だから、そのとき思っていることや感じることを
隠さずに、遠慮せずに話すことができます。

そして、そういう話ができたときほど、旅先での
美しい風景と同時に、出会った人々のことをも
思い出すことができるのです。
帰省するファミリー

〜〜 只見線 冬 〜〜
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 ある年の年末、会津若松から新潟県の小出
を目指したとき、途中の福島県金山町に帰省
する家族と相席になりました。都会とは比べも
のにならない雪の量に、小学生の姉弟がとて
も驚いていました。そんな子供たちに、父親は
「昔はもっと積もったんだぞ」。“家族の団欒”を
見た気がして少し懐かしい気持ちになりました。
写真好きに悪人はいない

〜〜 利尻行きフェリー 夏 〜〜
 稚内から、朝一番の船で利尻島へ渡った。
空はあいにくの曇り空。やるせない気持ちで
デッキに立っていた。札幌から来たという女子
大生もカメラを構えていた。筆者は利尻・礼文
を1日で廻る強行スケジュールだが、彼女は
それぞれの島で1日ずつ過ごすという。
 札幌からなら、来ようと思えばいつでも(利
尻・礼文に)来れるでしょう?というような会話
をしたが、彼女は全然近いという感じはしない
と言っていた。まぁ、確かに距離だけ見れば、
東京〜名古屋より長いわけだから、そうかも
しれない。
 いろいろなところを旅している筆者を羨まし
がっていた。女の一人旅はやはり怖いですと
言っていたが、ジャングルを探検するような旅
でなければ、そう過剰になることもあるまい。
 空は曇だったが、いろいろな話をして、心の
中は少し晴れた。
 青森県下北半島の尻屋崎から下北駅近くの
宿まで戻るのに、ボーッとバスを待っている
のも退屈なので、次のバス停まで歩いていた。
そこに通りがかった車の中の爺さん2人が、
「乗って行きなよ」というようなことを仰る
ので、遠慮せず乗せてもらった。かなり使い
込んだ車で時折トランポリンの如く揺れたが、
生まれて初めてのヒッチハイク?に感激した。
車中の爺さん2人の会話は早口で、外国語の
ようだった。まともな会話ができなかったこ
とに悔いが残る。英会話より、方言のほうが
よっぽど大事だと思う。
方言さえ分かれば・・・

〜〜 尻屋崎 春 〜〜