サムライ・スピリット
アザットの冒険


注:
よく間違われますが、AzatとBafaは別キャラですが、
中の人は同じです。
誤解のないよう、よろしくお願いします。

某月某日

俺の生まれたのはバストゥークだ。
ヒュームとガルカの街、バストゥーク。
近代文明が発達したその外観は、伝統あるサンドリアの雰囲気とも、魔法国家のウィンダスとも違う。
俺は、この街が、大好きだ。
そして、俺はこの街から冒険の第一歩を踏み出す。

某月某日

ミスラのバッファという子と仲良くなった。
思い切って告白したところ、付き合ってもいいとの返事!
やった!俺にも彼女ができた!
…冒険者が冒険もしないでいて彼女をつくってるっていうのはどうかという気もするが。

某月某日

バッファがウィンダスに帰るって言い出した!
いきなり遠距離恋愛か!
辛い…しかし、いつか俺もウィンダスに行けば一緒に暮らせる。
セルビナというところから船に乗ってマウラに行けばウィンダスまで行けるらしい。
バッファのためにも早くウィンダスに行けるぐらい強くならなければ。

1/17

広場の方から、叫び声が聞こえてくる。
リンクシェルの勧誘やら何やらだ。
リンクシェルというものに興味があった俺は、引き寄せられるようにそちらへ向かっていった。
そう、最初は真剣な気持ちではなく、冷やかしみたいなモンだったのだ。
その人に会うまでは。
「あ、君、入会希望かい?」
そう声をかけてきた男の腰に、俺の目は吸い寄せられていた。
「あの、それ…」
「あ、これ?」
名前を出すのも失礼な話なのでMさんとしておこう。
Mさんは腰につけた見事な刀を抜くと、俺に見せてくれた。
「孫六っていう刀だよ」
「関孫六ですか!」
「ああ、知ってるのかい?」
「ミシマが魔人カトーと戦ったという伝説にある、あれですね?」
「いや…私はよく知らないんだが…刀詳しいんだね」
俺はかなり興奮していたと思う。
東洋に伝わる、武士道。サムライ・スピリット。刀。
興味があって調べていたものの、本物の刀を見るのは初めてだ。
しかも、いわくつきの名刀だ。
俺はいっぺんでMさんに憧れてしまった。
「お、俺も侍になりたいんです。今、戦士で修行中で…」
リンクシェルの話はどこへやら、俺は一人でべらべらとまくしたてた。
その1時間後、しっかりリンクシェルにも登録し、Mさんとお近づきになっておいたのは言うまでもない。

1/22

ふと、今まで使ってきた片手剣をやめて、槍を持とうかと思った。
片手剣というのは戦士のたしなみとして使えるようになっておくものらしいのだが、俺が目指す侍には必要ない代物だ。
そして、侍は東方伝来の両手槍も使うらしい。
そんな安直な理由で、俺は槍を持つことにしてしまった。
おかげで、ただでさえ寒い懐がますます寒くなった。
それでも、なんだか侍に一歩近づいたようで、俺は満足だった。

1/22 −2−

ミッションの関係で、初めて大工房に行ってみた。
感動!
リフトだ。
階段ではなく、機械仕掛けの大きなリフトで、2階に上がるのだ。
バストゥークの工業力にはいつも驚かされる。
飛空艇というのも、今の俺には想像もつかない代物だが、いつか乗ってみたいと思う。

さて、帰りに鍛冶ギルドに迷い込んで、俺はそのまま鍛冶ギルドに入会してしまった。
冒険者がなぜ、と思うかもしれない。
ギルドの親方にも、副業でやるなんて、と言われた。
しかし、俺は侍を志す者だ。
できれば、自分の命を預ける刀は自分で鍛えたい。
そういうわけで、俺は鍛冶をやることにした。
練習でギルドの職人に手伝ってもらい、青銅を精製する。
もちろん、材料費は自分もちだ。
そして、精製した青銅をオークションに出品し、材料費を回収し、なおかつ利益をあげる…
…あげる予定だったのだが、どうやら青銅は在庫過剰らしい。
そういうわけで、俺は大赤字を出し、何度も言うようだがそもそも寒い懐がさらにさらに寒くなった。
…鍛冶屋への道は遠く険しい。

1/23

今日も今日とて修行を重ねる俺である。
が、しかし、さすがにたった一人で戦闘するのも寂しくなってきた。
まだレベルは7なのだが。
そこで、パーティ参加希望というものを出してみることにした。
これを出しておくと、パーティに誘われることがある。
案外早くお誘いはかかった。
どうやら魔道士の二人組である。
俺は、言われるままに行ったこともない山奥の洞窟まで出かけていった。
途中、もう一人シーフが参加した。
到着し、手を振るとちょうど三人は話で盛り上がっていたところだった。
なんでも、シーフの名前は何に由来するかということなのだが…。
びっくりだ。
なんと、フォーゴトンレルムの登場人物からとったというのである。
親がフォーゴトンレルムのシリーズのファンだったそうだ。
俺もそのシリーズは読んだことがあったが、周りにはそういう友人はいなかった。
その場にいた三人(俺を含めれば四人だ)は、全員そのシリーズを読んでいた。
何という偶然か。
そういえば、俺が侍を志したのも親が「シンセングミ」のファンで、俺もそれを読まされたからであった。
「オキタ」とか「ヒジカタ」とか名前をつけられなくて、よかったような少し残念なような。

そして、洞窟の中で戦闘が始まった。
いつのまにか魔道士が一人消えていた。
なぜだろう。
はぐれてしまったのか。
まあ、いい。
白魔道士が一人いれば回復は出来るし、シーフと俺が前衛を務めればパーティは成立する。
そう思って、戦闘が始まったが、なぜか傷ついた俺に回復のケアルはこなかった。
…なぜ?
疑問が一瞬頭をよぎるが、直後謎は解けた。
黒魔法使ってやがる。
ちょっと待て。お前黒魔道士か。回復できねえのか。
そうは言っても俺は侍を志すものである。
武士は食わねど高楊枝である。
回復できないものは回復できないのである。
根性で戦闘を乗り切った俺に黒魔道士が語りかけてきた。
「白魔道士が必要だね」
あたりまえだ。
しかし、そう言いながら、その黒魔道士は白魔道士を探す前に次の戦闘に移るのである。
戦いが始まってしまったらやることは一つである。
武士は食わねど高楊枝である。
回復できないものは(以下略)
そして、案の定俺達は全滅した。
戦闘不能に陥った俺達はバストゥークへと強制送還された。
ここで、死なないのがいいところである。
冒険者には例外なく死亡を防ぐ魔法がかかっているのがありがたいところである。
痛いのは痛いが。
そうして、バストゥークで俺達三人は別れた。
お互いに「グッド・ラック」と言い残し。
ひどい目にあったと言うのに、俺は別れた後笑いが止まらなかった。
あの黒魔道士、今度から白魔道士をそろえてからパーティを組むようになるだろうか。
リンクシェルの仲間に事の顛末を話したところ、大笑いされた。
これだから、冒険はやめられない。

11/13

感動だ。
バッファが結婚に応じてくれた。
もう冒険はしない。
バストゥークで二人静かに末永く暮らすのだ。
侍になれなかったのが心残りだが、もうそれもいい青春の思い出だ。
俺は、今幸せを噛みしめている。
さらば、冒険の日々。


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