僕の名前はアムロ・レイ。15歳。いやおうなくIT業界戦争に巻き込まれてしまった一民間人だ。 「田中君、ボーっとしてないでちゃんと仕事やってね?」 僕の仕事はSE−システム・エンジニアだ。 しかし、今任せられている仕事はプログラミング。現場作業だ。 つまり軍人でいうと、将校ではなくMSに乗っているパイロットだ。うん、言い得て妙だ。自分でも感心してしまう。 民間人上がりとは言え、僕は初めてPCに触った時に内部の回路まで手に取るように分かった、言わば「エリート」なので、当然プログラミングのスピードも一般人とは一線を画している。 パチパチパチパチパチパチパチパチパチ…! 「な!?」 横から凄まじいタイピング音が聞こえてくる。 このスピードは…そう。通常の人のプログラミングの三倍は速い。 その秘密はタイピングの速さだけではない。ソースを見た瞬間の理解力と新たなソースの創造力が一体となり、間断ないタイピングがこの異常な速度を生んでいるのだ。 こんなことができるのは…。 奴だ。奴しかいない。 「フ…アムロ君。手が止まっているぞ?私のプログラミングのスピードに驚いているのかね?」 隣の席に座る、仮面の男。システム弐部の、通称『赤い彗星』。シャア・アズナブル。 「くっ…」 パチパチパチパチパチパチパチパチパチ…! 負けじと僕もフルスピードでプログラミングを行う。タイピングのスピードにはそれなりに自信が有るし、ソースを書く速さで劣っても、僕のプログラミングはミスの少ない正確さが売りだ。それに加えて、僕の愛機RX−78−2はCPUの速度もハードディスクのアクセススピードもメモリの容量も全てシャアの使っている赤いPCより勝っている。これなら『赤い彗星』にも負けないはずだ。 「さすがになかなかやるな。だが、<通常の3倍>PCの性能の差が戦力の差でない事を教えてやろう!</通常の3倍>」 「なっ、何ぃ!バカな…!更に<通常の3倍>だと!?」 「むぅっ!今のが見えるか!これがニュータイプ同士の共感だとは認めたくはないが…」 「<熱血><集中><ひらめき>これでどうだ!</ひらめき></集中></熱血>」 「ス、スパロボネタは汚いぞ、アムロ君」(←めずらしく素) <ヒソヒソ> 「ねえ…田中君と鈴木さん何会話してんの…?」 「あの二人の言ってること分かるわけないじゃん」 「てゆうか、鈴木さん…マスクしたままで電車乗ってるのかしら…?警察につかまんないの?」 「捕まえてほしいけどね。コミケにでも行くと思われてるんじゃないの?それより、あれって会社の規則におもいっきし違反よね」 </ヒソヒソ> 宇宙世紀0079… 「だから、今年は平成14n」 宇宙世紀0079…、戦いはまだ終わらない。 |