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―許されるまで傷ついてみろよ―
第157話 「STAY」


傷ついた月下仙女のメンバーを病院に連れていこうとする伊沢。

高村「ふざけるな!やっぱジャマしに来たんじゃねーか!」

その瞬間、二人のいた小屋に火の手が上がった。
月下仙女の襲撃だった。
アキラを連れて逃げる遊佐。
しかし高村と伊沢は脱出する気配がなかった。

アキラ「高村さん高村さん 早く 出てきて…!」

その頃、高村はあくまで月下仙女のメンバーを救出しようとする伊沢を説得しようとしていた。

高村「そいつをおいていけ伊沢」
高村「でなきゃお前も行かせねえ」
伊沢「……………」

沈黙。


伊沢「…つまらない意地にはたやすく命をかけるクセに
  どうして殺されるのを覚悟で
  傷ついた相手に頭を下げるコトができないんだ」
高村「姫月を殺して―のは俺だ!なんでそんなこと!」
伊沢「じゃあ なぜ俺をジャマだと言った?」
高村「!」
伊沢「俺はお前のジャマをしたコトは一度もない。
   それがなんであれ
   おまえが本当に望むコトなら」
伊沢「おまえは知っていたハズだ。
   だから
   そんなのはおまえの望みじゃ―――」
高村「黙れ!」
高村「じゃあ俺に死ねってのか?」

―俺の望み―

高村「死んだって祥は俺を許さねぇよ!」
高村「許せない相手でも死ねば祥は泣くんだ。それじゃだめなんだよ」

―死んだって叶わない―
―取り戻せない、祥の笑顔―

高村「頭下げてすむ問題じゃねえ」
高村「あいつらだって俺を殺す気なんだ。だったら!」
伊沢「それは報いというモノだろう!」
伊沢 「おまえは死ぬような目にあったって仕方ない。
    一生消えない傷が残っても!」

伊沢「それでも…」
伊沢「決して死なせはしないから―」
伊沢「だから」
伊沢「許されるまで傷ついてみろよ」

―フッ…
高村の心に祥の笑顔が思い浮かんだ。

―そうしようと
 思った瞬間、
  あんなに遠かった祥がすぐそばにいる気がした―

伊沢の言葉が蘇る。
―助けに来たんだ―

―あの笑顔を取り戻したい―

高村はもう迷わなかった。
最も困難な、茨の道を歩いていく事を…


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