たかみか通信 令和4年(2022年)7〜9月    2022/8/27発行



 猛暑続きだった今年の夏もそろそろ終盤。 過ぎてしまうとあの暑さも懐かしく感じます。


ネガティブ感情と向き合う



 健康的に過ごしていくためには、食・動・心の3つともが良好でないといけません。その中でも一番厄介なのは「心」の分野ではないでしょうか?
 20年以上、整体や食事指導をしてきて、精神的なものの身体への影響が非常に大きいと感じています。

 今回ご紹介するのは吉武大輔さんの「ネガティブ感情 向き合い 練習帳」。
 怒り、悲しみ、寂しさ、不安などのネガティブな感情はよくないので、ポジティブにいこう!などと、単純にネガティブ感情を否定するのではなく、なぜそんな感情がわいてくるのかが大切で、そこをしっかり見極めましょうというものです。

「人は目の前で起きている出来事や表層的に感じているネガティブな感情ではなく、その奥に隠された本当の思いに気づくと、本当の人生を生き始めることができるようになる」

 何かの出来事や対象に対して感情的になるということは、「それだけ大切なことや思いが、隠されている」ということ。

 今の感情は過去の経験からの焼回し。例えば、犬に噛まれたことのある人は、犬が怖いと思うようになったり、人前で話すのが苦手な人は、過去に、いやな思い、恥ずかしい思い、悲しい思いをしていたり。

 感情の多くは「今感じていること」ではなく、「過去からの反応によって生じている」。感情とは「過去の経験×現在の出来事」からできている。

 これを「感情のレシピ」と呼び、自分はどんな感情のレシピを持っているのか、それは自分が望んでつくったものか?それとも望まずにつくってしまったものか、自分の感情のレシピを一つひとつ見直す。

 そして、自分が望む未来イメージとして、望む未来が実現するレシピに書き換えていく。

反応する感情@「攻撃」によって感情から逃げる。
反応する感情A「逃避」によって感情から逃げる。
感情から逃げずに、向き合うことで安心が生まれる。


4大ネガティブ感情

「怒り」とは、大切なものが大切にされていないときに生じる感情。
「悲しみ」とは、「あるはずのものがない」と感じるときに生じる感情。
「寂しさ」とは、「誰も理解してくれない」と感じるときに生じる感情。
「不安」とは、わからないことがあるときに生じる感情。

 著書では、快、不快で感情を置き換える方法、など具体的に書かれています。
 他にも、こんなことが書かれています。

・共感し、理解し合えるコミュニティを見つけて感情を理解してもらう。
・自分の価値観にとらわれすぎずに、「それもいいね」で世界を広げる。
・自分の機嫌は自分でとる。

・本当に欲しいものに気づくと、人生が動き出す。
・望む人生を生きるための33の質問。(紙面の都合で書き出せないのが残念)
・自分の主感情を知る「感情診断テストKIOKU」(インターネットでもあり)

 この本とは直接関係ありませんが、私が尊敬する千賀一生先生は下記のようにいわれています。

・マイナスはマイナスとして直視できる、まっすぐな視野というのが必要。
・そのマイナスをも包んで昇華させてゆく育む力でなくてはならない。
・たとえば、その怒りが、広い視野の愛かどうかの問題。

・すべてが神様。破壊も怒りも憎しみも全部が神様。
・コマは遠心力と求心力が同時に働くからずっと立っていられる。
・現実のまま見たままで、自分の軸を揺らぐことなく保っていられることが大事。しっかりとマイナス面も直視ながら自分がブレないでいられた時に初めて自分が確立されてくる。

・人の欠点とかは、マイナスに見えるけれど、それさえも、天が与えてくる。


「生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある」岡 檀



 2013年に書かれた本。
 1998年(平成10年)から、14年連続して、自殺者数3万人を超えていた。

 当時、慶応義塾大学大学院健康マネージメント研究科の修士課程の岡 檀(まゆみ)さんは、全国でも極めて自殺率が低い、徳島県旧海部町に注目。

 それまで、自殺多発地域と自殺危険因子についての研究は多々あれど、自殺希少地域と自殺予防因子についての研究はほとんどなかった。

 難しいテーマに果敢に挑み、4年もの大変な調査を重ねた結果をまとめた、貴重な著書である。


<自殺予防因子-その1>
いろんな人がいてもよい、いろんな人がいた方がいい。

 たとえば、海部町は赤い羽根募金が集まらない。
 隣接するほかの町村では、赤い羽根の募金箱をまわすだけで、住民たちがおとなしく、みんながほぼ同額の募金を入れて次へと送ってくれる。

 しかし、海部町では、そうすんなりといかない。
 まず「だいたいが赤い羽根て、どこへ行って何に使われとんじぇ」と問い詰められて、担当者はたじたじ。

 すでに多くの人が募金したと言ってみたところで「あん人らはあん人。いくらでも好きに募金すりゃええが。」
 単なるケチでなく、必要だと本人が思ったものには、たいまいの募金をする。

 老人クラブでも、隣人たちと連れだって入会したり、誰かに義理立てて入会したりという発想はまったくない。
 自分が入りたいと思ったら入る。ただそれだけ。

 他人と足並みをそろえることにまったく重きを置いていない。
 おそらく、自分ひとりが他と違った行動をとったとしても、周囲から特別視されたり、コミュニティから排除されたりする心配がないことが前提としてあるのだろう。


<自殺予防因子-その2>
人物本位主義をつらぬく

 人物本位主義とは、職業上の地位や学歴、家柄や財力などにとらわれることなく、その人の問題解決能力や人柄を見て評価すること。

 たとえば、海部町の教育長の人選。一般的には教育者として長年キャリアを積み、中学校の校長を務めるなどしたのちに選任されるケースが多い。

 しかし、海部町では、これからの教育には企画力が重要であるとの考えから、商工会議所に勤務していた41歳の教育界での経験皆無の男性が抜擢された。

 しかも30年前からこういった人事だという。
 また、年長者だからといって威張ることはないようで、江戸時代から続く海部町の相互扶助組織では、年長者が年少者に服従を強いるということがない。


<自殺予防因子-その3>
どうせ自分なんてと考えない

 アンケート結果で、「あなたは『自分のような者に政府を動かす力はない』と思いますか?」の問いに、「そのような力なんてない」と感じている人の比率は、海部町で26.3%、自殺多発地域のA町では51.2%と2倍近い開きがあった。

 A町では政治に対する無力感を抱えている人が多い。
 海部町では、主体的に政治に参画する人が多い。どうせ自分なんてと考える人が少ない。


<自殺予防因子-その4>
「病」は市に出せ

 町の先達が言い習わしていた格言。
 「病」とは、たんなる病気のみならず、家庭内のトラブルや事業の不振、生きていく上でのあらゆる問題を意味し、「市」というのはマーケット、公開の場を示す。

 体調がおかしいと思ったら、とにかく早めに開示せよ、そうすれば、この薬が効くだの、あの医者が良いだのと、周囲がなにかしら対処法を教えてくれる。
 まずはそのような意味合いらしい。

 同時にこの言葉には、やせ我慢をすること、虚勢を張ることへの戒めがこめられている。

 悩みやトラブルを隠して耐えるよりも、思いきってさらけ出せば、妙案を授けてくれるものがいるかもしれないし、援助の手が差し伸べられるかもしれない。
 だから、取り返しのつかない事態にいたる前に周囲に相談せよ、という教え。

 「でけんことはでけんと、早う言いなさい。はたに迷惑がかかるから」と、子どものころから親や教師によく言われたそうだ。


<自殺予防因子-その5>
ゆるやかにつながる

 海部町では、「ゆるやかな絆」が維持されている。
 物理的密集度が極めて高いが、隣人間のつきあいに粘質な印象はない。
 基本は放任主義で、必要があれば過不足なく援助する。
 どちらかといえば淡白なコミュニケーション。

 アンケートでも、「日常的に生活面で協力しあっている」と答えたのは、海部町で16.5%に対して、自発多発地域のA町では44.0%。
 そして、海部町では人間関係が固定されておらず、複数のコミュニティに属しているし、出入りも自由。


いろんな人がいてもよい、いろんな人がいた方がよい
人物本位主義をつらぬく
どうせ自分なんて、と考えない
「病」は市に出せ
ゆるやかにつながる



 海部町では周囲の人と違った行動をとったからといって、犯罪行為でもない限り排除されることはないのだから、多種多様な価値観が混在している。

 そうした社会に生きる人々は、社会=多様性という図式を刷り込まれ、そのことがデフォルト(標準様式)であると思って育つ。
 その結果として、異質な環境に放り込まれたときにも使える、弾力性と順応性が備わっていくのではないだろうか。


海部町は賢い人が多い町

 海部町は「助けを求めよ」と言葉によって人をさとすよりも、人が「助けを求めやすい」環境を作ることに腐心してきた。
 面と向かって言われては意固地になるような輩も、気がつけば弱音を吐かされているという、実に巧妙で高度な策を施している。

 飄々(ひょうひょう)としているようで抜け目のない、思わず「やるな、おぬし」と声をかけたくなるような、海部町とはそういうコミュニティである。


通説を見直す

 自殺予防には「強い絆」「人とのつながり」がもっとも重要と思われている。
 間違いではないが、海部町に比べて、隣接する自殺多発地域A町の方が緊密な絆で結ばれていて、逆に、住民の悩みや問題が開示されにくく、援助希求(助けを求める意思や行動)が抑制されやすい。

 幼い頃から、命の大切さを教える。これも重要ではあるが、問題の核心はそこではない。

こだわりを捨てるー必ずしも“幸せ”でなくてもいい

 海部町は「幸せ」と感じている人の比率が少ない。
 しかし「幸せでも不幸でもない」と感じている人の比率は高い。 「不幸」と感じている人の比率は低い。

 「ほれが(幸せでも不幸でもないという状態)がちょうどええ、一番心地がええ、と思とんのとちゃいますか」と住人。


以上



---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*--

★カラダのための自然食レシピサイト『ケアごはん』 http://caregohan.jp/

★玄米酵素(FBRA)学術研究紹介サイト『ふぶらぼ』 http://fbra.jp/

★玄米酵素公式ホームページ https://www.genmaikoso.co.jp/

★玄米酵素オンラインショップ https://shop.genmaikoso.co.jp/

★生体活性水ガイアの水135(有)ビビアン http://www.viviann.co.jp/ (紹介者「大賀水香宝」)


元に戻る