ホームズに関する資料

 シャーロック・ホームズや都筑道夫さんについての、さまざまな資料や、情報を紹介していきます。といっても、あまり積極的な蒐集ではなくて、新聞や雑誌、その他のメディアなどからの情報を載せていく予定です。著作権の問題は出そうですが・・・

最終更新日 1999.11.22



1.シャーロック・ホームズ 都筑道夫・選
1999年11月14日(日)毎日新聞 この人・この三冊

  1. シャーロック・ホームズの功績
    (アドリアン・コナン・ドイル、ジョン・ディクスン・カー著/大久保康雄訳/ハヤカワ・ミステリ)
  2. 名探偵登場
    (ウォルター・サタスウェイト著/植草昌実訳/創元推理文庫)
  3. 日本版 ホームズ贋作展覧会 (上下)
    (山田風太郎ほか著/河出文庫))
  コナン・ドイルの書いたシャーロック・ホームズの事件記録は、九冊あって、マニアたちは「正典」と呼んで、あがめている。長編ならどれ、短編ならどれ、とベストをきめることは、きわめてむずかしい。そこで、贋作に狙いをつけたのだけれど、これも、ドイルの著作権が消滅して以来、どこの横丁を曲っても、にせのホームズと鉢あわせをするくらい、陸続と出版されている。
  したがって、まずは直系、ドイルの息子のアドリアン・コナン・ドイルが、不可能犯罪の巨匠、ジョン・ディクスン・カーの助力で書いた『シャーロック・ホームズの功績』を、あげておこう。正典にあっさりと、「傘をとりに、自宅へ戻ったまま、二度と現れなかった男の事件」といったあふに、書かれているものを、くわしい事件記録にしているところに、この短編集の特徴がある。
  長編では、ウォルター・サタスウェイトの『名探偵登場』をすすめたい。ホームズではなく、生みの親のコナン・ドイルが、アメリカの奇術師、ハリー・フーディーニと協力して、探偵役をつとめる変わり種だ。しかも、この三冊のうち、いちばん新しい。イギリスはデヴォン州、幽霊がでるという貴族の館に、ドイルとフーディーニが招待されて、密室殺人にまきこまれる。ホームズ役はフーディーニで、ドイルはワトスン役にまわるところは、作者のサタスウェイトが、アメリカ人だからだろうか。
  贋作は日本にもあって、山田風太郎、柴田錬三郎らの短編を上下二冊にあつめたのが、河出文庫の『日本版 ホームズ贋作展覧会』である。いまでは、手に入れにくいのが残念だけれど、珍しい作品が、おさめられている。たとえば戦前、小栗虫太郎が現在のNHKに書いた文士劇。これは久生十蘭の演出で、昭和十三年末に放送された。主役のホームズを演じたのは、江戸川乱歩だった。当時、満九歳だった私には、ホームズよりも、悪役の大下宇陀児のほうがうまかった記憶が、おぼろげに残っている。


 日曜日の朝刊を開いたら、こんな記事が載っていて、思わずスクラップです。久しぶりの都筑道夫さんの文章。しかも内容は、シャーロック・ホームズに関するもの。本当に、グッドタイミングでした。全文を表記の通りに載せてしまいましたが、いいのかな。長文の引用と言うことで、関係の皆様お目こぼしを。






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