老人ホームにアルプスの山々を見た



薄々気づいてはいましたよ。

歌はお年よりに働きかけるんです。
ものすごく。

ボランティアで老人ホームに行くたびに思っていたことです。
(ディサービスや特別養護老人ホームで歌を歌うというボランティア)

一緒に懐かしい流行歌を歌っていると
顔つきが急に生き生きと
する瞬間が利用者さんにあります。

興味なさそうにしていましたよね、Aジィちゃん。
「歌なんて関係ねーよ」風に、
みんなが集まっていたホールから
部屋に戻っていかれましたよね。

でも、最後の方で春日八郎の「お富さん」が始まったとたんに
松葉杖つきながら走って来て、
1番前で歌ってくれました。
すっごく嬉しかったですよ〜〜〜。
きっとAジィちゃんにとって「お富さん」は
思い出深い青春の歌なんですね。


けど、知りませんでした。
踊りにもそんな力があるようです。

今日は近所の老人ホームの小さな夏祭り。
ホールに屋台が出て、ビールを飲んだりヤキトリを食べたり
盆踊りを踊ったりする日でした。
屋台のお手伝いに行ったんですけどね。

ビックリしましたよ。

Tジィちゃん、あなたのことですよ。
ほっそりと長身でダンディなTジィちゃん。
80歳すぎたくらいかな。

盆踊りが始まった時、イスに座ってらっしゃいましたね。
『炭坑節』が始まっても ♪月が〜出た出た〜♪ って
最初は歌ってるだけでしたよね。
誰が誘っても踊りの輪には加わりませんでした。

3回目の『炭坑節』が流れてきた時に
立ち上がってくれるなんて思っていませんでした。
踊りの輪に加わってくれるなんて・・・

しかも、
それを安来節風に踊ってくださいましたね。
たた美は全く想像していませんでしたよ。
あのヒョットコ顔にドジョウすくい、まさしくそれは『安来節』でした。

それはいい。
それはいいよ、Tジィちゃん。
炭坑節を安来節風に踊るのはステキです。
みんなも喜んでいました。
かなり場が盛り上がりましたよ、ありがとう。

だけどさぁ、Tジィちゃん、あなたさぁ・・・・














さっきまで歩行器使って
「やっと」歩いてた
じゃん(^^;)













Tジィちゃん!
たた美はあなたの後ろにアルプスの山々を見ました。
アルプスの少女ハイジの影を確かに見ました。
車椅子に乗っていたクララの横顔を見ましたよ。






クララが自力で立ち上がって歩いた話は
事実に基づいてるな、絶対

と思いました。



ありがとう。
またミラクルを見せてくださいね、利用者のみなさん。
「かなわん」という気持ちと
「負けてられないぞー」という気持ちが入り混じった
なんとも言えない いい気持ちになれます。

よろしくお願いしますね。










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   他にもいらっしゃいました。
   「さっきまで杖ついてたじゃん」なお婆ちゃまとか。
    みなさん、元気をありがとう。
                    たた美






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