その4 情熱のごっこ遊び : かえる
子供の頃ってごっこ遊び大好きだよね
私たち姉妹も大好きで
お姫様ごっこや探検隊ごっことか色々やりました。
中でも一番好きだったのがキャンディキャンディごっこで、
おてんばだった姉にはぴったりのキャラクターだった。
私は家の柱によじ登った姉に
「キャンディ危ないわ!!」
って下から叫ぶアニーになったり
キャンディに意地悪するイライザになったり
アンソニー役もやったっけ。
キャンディはホント大好きで楽しくて楽しくて
いつもキャンディごっこばかりしてたんだけど・・・
気付いちゃった。
キャンディ役はいつもお姉ちゃんだって。
私だってキャンディやりたいじゃん。
柱にだってよじ登れるしお姉ちゃんみたいにタンスにも登れる。
勇気を出して言ってみた。
「私もキャンディやりたいよ。
キャンディじゃなかったらもうキャンディごっこやらない」
姉は凄くムッとした顔で
「いいよ、じゃぁキャンディやりなよ。
そのかわり一回でもセリフ間違えたら交代ね」
えっ??セリフ間違えたらって?
姉は一冊単行本を持ってくるとシリアスな話のページを開き、
「ここからね」
長くて難しいセリフばっかりだった・・・
がんばりましたよ。
やっと憧れのキャンディ役だしね。
怒ってる姉の顔見ないようにビクビクしながら。
でもさ、無理じゃん。小学1年の女の子には無理じゃん。
長いセリフ覚えらんないし、間違えないで言うなんて無理じゃん。
私は木登りしてるとことか、
アンソニーと踊ったりしてるとこがやりたいのに。
姉は鬼の形相で単行本を見ながら私が間違えるのを待っていて間違えたとたん
「はい、おしまい。」
あっけなくわたしのキャンディは終了した。
ず、ずるい!!
いつもは単行本なんか見ないで
好き勝手にキャンディやってるじゃん!!
言えませんでした。
得意顔でキャンディになってる姉には
文句なんて言えませんでした。
そして私はまた
「キャンディ危ないわ」
のセリフを連呼するのだった。
おまけの話
あれから数十年、
姉の上の子が下の子に同じ事を言っては意地悪してるらしい。
血は争えませんなぁ・・・
はい。
私は「姉」ですから、よくわかりますね。
(弟がひとり)
「お姉ちゃんはいいとこ取って当たり前」
なんですねー
でも。
ただ「やらせてあげない」っていうんじゃなくて
ちゃんと条件つきでやらせてあげるあたり
うまいなー(笑)
たた美
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その5 愛の特訓 − 運動会のために − : かえる
体育の日目前ですが運動会は終わりましたか?
運動会といえば徒競走ですが
私が姉に早く走れるようになる
すばらしい特訓をしてもらっていたので
その方法をお教えしましょう。
まず、自分より足が速く体の大きい人に
協力してもらえるようお願いしましょう。
そしてその協力者に最初に約束してもらってください。
「なにがあっても走りを止めないこと」
約束してもらったら後は簡単です。
協力者と手をつなぎひたすら走る!
走る!!走る!!!
当然転びます。
なにせ協力者はあなたより足が速いから
ついていけず転びます。
しかし最初の約束で協力者は走るのをやめてはいけません。
あなたがどんなに
「痛い!」と叫ぼうが
「止まってぇ!!」と懇願しようが
「もうやめてぇ!!」
と泣き喚こうが止まりません。
あなたを引きずりまわしながら走り続けます。
ひざが砂利でジャキジャキになっても走り続けてもらいます。
痛いのは嫌ですか?
痛いのが嫌なら協力者より早く走ればいいのです。
ほら、ね、早く走れそうでしょ?
結果ですか?
私はいまだにひざに傷が汚く残り
ミニスカートがはけません。
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大人になってから聞いたんだけど、
姉は早生まれで足が遅く徒競走でいつもびりだったから
スタート前吐きそうなほど緊張したんだって。
かわいい妹に同じ思いをさせたくなくて
彼女なりに必死だったんだってさ。
深い愛情からだったんだねぇ。
ありがた迷惑だけど・・・
愛のムチ・・・
今思い浮かんで来るもの・・・
それは・・・
大リーグボール養成ギブス・・・
一緒ね?
姉の愛は海よりも深く、山よりも高いのだわ。
中学の時の担任の先生は
「右足と左足を交互にすごいスピードで
出していけば必ず速く走れるぞ」
って言ってたけどねー
そう言われてもねぇ。
駿足になりたい方!
自分より大きくて足の速い人を探 ・・・
・・・フェイドアウト たた美
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