計画
前述のアーシング理論に基づいて,実車の配線状態を見てアーシングの計画を立てる.
Keiの場合,ワイヤハーネスの走行は,おおまかには次の図のようになっていた.
この図を見ると,オルタネータからの線(黄)とバッテリー,スターター,
ヒューズボックスをつなぐ線(橙),そしてECUからエンジン各部へ向かう配線
(紺)からなるメインハーネス,それとヘッドランプやワイパー,
ABSユニットなどをつないでいるサブハーネス(水色)の2本に分かれている.
一方,アース側の配線は,左フェンダーとATミッションにつながっていた.このことを踏まえて,
できるだけ既存のプラス側ハーネスに沿って配線するように考えると,次の図のようになる.
上の図で紫で描いているのが,アーシングワイヤの予定線になる.
次に,具体的なアーシングポイントを決める.まずエンジンブロックでは,
できるだけオルタネータに近いところのボルトを探す.そうすると,オルタネータとスタータの間に,
ECU関連のものと思われる純正アースポイントが見つかった.オルタネータとスタータから近く,
アーシングポイントとしてはかなりよい場所と思われる.近くには使われていないボルト穴もあるので,
もう少し追加することも容易だろう.オルタネータのリヤエンドカバーも可能だと思われるが,
ボルトが細いので細い線でないと難しいかもしれない.次にサブハーネスだが,本当はバルクヘッドに数カ所,
配線できるといいのだが,Keiのバルクヘッドにはアーシングに適当なボルトがほとんどないのである.
しかたなく,右側はワイパーモーター固定ボルトに,左側はECU固定用ステーのボルトに共締めすることにした.
右前方は右ヘッドランプなどのための純正アースポイントがあるので,そこに終端すればよい.
左前方の純正アースポイントについては,もともとバッテリーからのアース線がつながっているので,
あえてアーシングを追加する必要はないと思われた(してもいいが).
材料
準備する物は,アーシングとしては標準的な物ばかりである.ただし,熱的に厳しいと思われる軽自動車であるので,
エンジン周囲の配線には耐熱温度180℃のLKGB線を使用している.
また,バッテリーのマイナス端子に取り付けるアーシング専用のターミナルを使用してみた.
用意した物
- 電線各種(LKGB 14sq白,KIV 8sq黒,AV 5.5sq黒)
- 端子各種(適応コード2sq〜22sq,ボルト径6mm〜10mm)
- 熱収縮チューブ各種(3mm〜25mm,透明・黒)
- コルゲートチューブ,結線バンド,結線テープ
- 接点清浄剤
- シリコンシーラント
- ライター
- ワイヤーカッター(max 22sq)
- 圧着工具(max 14sq)
- ニッパー,ラジオペンチ,ハンドツール各種
- アーシングターミナル(SEIWA ET-1)
第一次施工
オイル交換のために車をジャッキアップしたついでに,エンジンブロックのアースポイントと,
ワイパーや右ヘッドランプ付近に向かう2系統のアーシング線を敷設.エンジンブロックとバッテリー間は14sqのLKGB線,
サブハーネス沿いは,左フェンダーのアースポイントからECUステー,ワイパーモータまでの区間は14sqのLKGB,
ワイパーモータから右ヘッドランプまでは8sqのKIV線を使用した.ただし,この時点では,
サブハーネス沿いのアーシング線は,左フェンダーの純正アースポイント止まりであり,
バッテリーのマイナス端子からここまでの純正アースは5.5sqであったため,少し改善が必要なようだった.
(作業日:2002年1月14日)
第二次施工
SEIWAのアーシングターミナルが,マークIIでは取り付けるとボンネットが閉まらなくなってしまうので,
Keiに使ってみることになった.ついでにECUのところからバッテリーのマイナス端子までを14sqのLKGB線で引き直した.
バッテリー端子のボルトは6mm径だが,このアーシングターミナルの分配部分は8mm径のボルトを使用しているため,
端子の付け替えが必要になる.(作業日:2002年4月28日)
効果
テスターで測ると,エンジンブロックとバッテリーやボディとの間の電位差が減少しているが,
数mVの違いであり,それほど大きな影響があるとは思えない.体感上も,まだほとんど新車のためか,
はっきりいって何も変化していないように思うのだが・・・.まぁ,自己満足の領域だろう.
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