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MARK-IIでのアーシング施工例

計画

まず実車の配線状態を調べる.JZX81の場合,バッテリーのマイナス側からは2本の線が出ている. 1本は20sqで左エンジンマウントの付近でエンジンに固定されており,もう1本は10sqで左フェンダーエプロンのアースボルトについている. プラス側からも2本出ているが,1本はヒューズボックスに,もう1本はエンジン後方の,おそらくエンジンスターターに向かっている. あと,エンジン右側(排気側)の後ろよりから2sq程度の電線が出ており,バルクヘッドにつながっている.

まず強化すべきポイントであるが,直流抵抗の低減という意味では,オルタネータとバッテリー, ボディアース間を強化する必要がある.オルタネータ側の接続ポイントとしては,電気的にはオルタネータ自体に接続できればいちばんよい. オルタネータ本体で接続できる場所には,リヤエンドカバーやオルタネータ固定ボルトがある. 個人的には,オルタネータのレクティファイヤ(整流器)がリヤエンドカバーについており, リヤエンドカバーにはノイズ防止用コンデンサも取り付けられていることから,この固定ボルトが理想的と考える. ただ,このボルトは細いので,あまり太い線はつなげない可能性がある. 一方,オルタネータの固定ボルトは,ベルトの張力を受けているため,緩むとまずいので,こちらは避けるべきかと思う. またオルタネータ自体,JZX81では少し奥まったところにあるため,作業的には少し難しいかもしれない.

次善の策として,オルタネータ取り付け部近傍のボルトに接続する,という方法がある.そういう目で探してみると, オルタネータ取り付け部の近くに,ワイヤハーネス支持用のステーを固定するボルトと, ハンガーを固定しているボルトがあるのがわかった.前者はもちろん荷重は関係ないし, 後者もエンジンを降ろすとき以外は問題になることはなさそうなので,使えると思われる. この部分なら他に何も取り外さなくても容易に手が届くので,作業性の点でもなかなかよさそうだ.

続いてバッテリーのターミナルであるが,最初はバッテリー端子自体を社外品にしてみたのだが, 純正より端子部分の肉厚が大きく,いかにも電気抵抗が少ないようには見えたのだが, これは電線をかしめる部分がむき出しで,汚れや腐食の点からどうもいまひとつという感じであった. そこで,少しバッテリーにつく部分は華奢であるが,接続部分が保護されている純正品の新品を使用してみた. この場合,追加のアーシングを行うには,各社から発売されているアーシングターミナルをつないで使うと便利である. ただ後述するように,X80系の場合,ボンネットの高さがバッテリー上ぎりぎりなので, 高さのあるターミナルだとボンネットが閉まらなくなってしまうから注意が必要である.

ボディアースの強化の点では,純正のボディアースの位置をできるだけたくさんアーシングする,ということでいいだろう. ボディアースには,電線のついた端子をボルトで固定しているという標準的なアースポイントだけでなく, 電気負荷の中でアース側が,配線ではなく取り付けボルトから直接,車体に電気を逃がしているようなものも含まれる. また,できれば車室内にも配線を引き込み,各所にアーシングするのも効果的と思われる.

カーオーディオについては,できるだけ他の電気機器からのノイズを拾わないように,ということで, バッテリーからダイレクトにプラスとマイナスをバランスで引いてくる必要がある. 途中の配線はプラス側とマイナス側の線をよじってツイストペアにして用いる.また, オーディオ系のアース端子は,ボディアースとは完全に独立させて, バッテリーのマイナス端子以外の場所では接続しないようにする必要がある.

エンジン回りで,オルタネータ以外にアーシングする場所がないか,ということだが, まずECUのアースポイントがインテークマニホールドの前端付近にあり,ここは普通に手が届くところなので, まず押さえておきたい.その他には,各種センサーやインジェクターについては, エンジンブロックとは電気的に絶縁されているため,アーシングの効果はないだろう. あとエンジンブロックを電気が通っているものとしては,スパークプラグがある. この電気の流れは,イグニッションコイル→ディストリビュータ→(プラグコード)→スパークプラグ→シリンダーヘッド ときて,ここからバッテリーを経由してイグニッションコイルに戻るものと, ECUアースポイント→(イグニッションコイルの)雑音防止用コンデンサ→イグニッションコイル という経路を通るもの(ただしコンデンサの容量が小さいため,通過する電気の量はごくわずかと思われる) とがある.

続いて配線の引き回しであるが,これも原則通り,できるだけプラス側の配線に沿って敷設する,ということになる.

準備

用意した物

  • 電線各種(KIV 14sq黒,IV 8sq緑,AV 5.5sq黒,網線 5.5sq)
  • 端子各種(適応コード2sq〜22sq,ボルト径6mm〜10mm)
  • 熱収縮チューブ各種(3mm〜25mm,透明・黒)
  • コルゲートチューブ,結線バンド,結線テープ
  • 接点清浄剤
  • シリコンシーラント
  • ジェットトーチまたはライター
  • ワイヤーカッター(max 22sq)
  • 圧着工具(max 14sq)
  • ニッパー,ラジオペンチ,ハンドツール各種
  • アーシングターミナル(SEIWA,JURAN)
  • アーシングキット(Pivot)
  • オーディオ用電源キット(KENWOOD)
  • ボルト(6mm,8mm)

第一次施工

第一段階として,バッテリーターミナル交換とバッテリーターミナルにつながっている線の強化をはかることとする. 具体的にはボディーアースを強化することと,将来のエンジンブロック周囲へのアース線敷設に備えて, バッテリーからサージタンクへ1本だけ太い線を配線しておく

第二次施工

カーナビ取り付けに伴い,カーナビ+TV+オーディオで最大消費電流が20Aを超えることが予想されたため, 車両側ハーネスからの電源取得をあきらめ,バッテリーから直引きすることにした. バッテリーから直接,電気を取り出す時は,必ず途中にヒューズを設置する必要がある. というわけでヒューズ付きの配線キットを探したが,店頭でも数社のものが置いてある. ものによってはリレーが付いていてアクセサリー電源でON/OFFできるものもあるが, 現在の使用機器ではアクセサリー電源の制御は必要ない(主電源はバッテリーからの常時電源からとり, アクセサリー電源の入力は単に内部のスイッチを入れるための制御にしか使っていないため)ので, ブレード型30AヒューズのついたKENWOOD製の配線キットを購入した(メーカーによってはスローブローヒューズを使っているものがあり, これはヒューズが切れた時に交換部品の入手が難しいため,避けた).これは5.5sqの黄色の電線を使用していたが, これにマイナス側を組み合わせて配線することにした.オートバックスでアース用に5.5sqで長さが5mの黒いAV線が売っていたため, この両者をツイストペアにして使用した.ただ,あとから見るとちょっとひねりが足りないようだ. 完璧を目指す人はこの3倍くらいツイストしてほしい.車内に引き込んだ後,オーディオ・ナビ系のアースと電源はすべてこれに接続した. さらに2sqのアース線をトランクまで通し,トランク内にあるCDチェンジャーはトランクのフロアにアースされていたのをやめて, ナビ本体とあわせて新しく引いたアース線に接続している.ただし,このときはオーディオ本体のケースでアース線を分配しており, これが車体アースと電気的にはつながっているので,今のところ完全にはアースを分離できていない. 将来的にはケースへの接続をやめて,完全に分離する予定にしている(でも,ここまでバラすのは大変なのよね・・・).

第三次施工

最初に交換したバッテリーターミナルがいまひとつだったため,純正の新品に戻すことにした. これをハーネスごと交換するわけである.ボディアース側は簡単であるが,問題はエンジンブロックについている側である. ここはオイルフィルターのすぐ前にあたり,通常だと下側からでないと届かないと思われる. 今回はシリンダーヘッド載せ替え時に作業したため,インテークマニホールドとエンジンの間から作業できたが, それでもほとんど手探りでの作業となっている.あと,マイナス端子のところにアーシングターミナルを設置する予定だったが, このとき持参したSEIWAのアーシングターミナルが,高さがありすぎてボンネットが閉まらなくなってしまったため, 設置できなかった.(作業日:2002年3月24日)

第四次施工

前回,アーシングターミナルがボンネットに干渉してしまい取り付けられなかったので, より高さの低いアーシングターミナルを用いてやり直すことにした.そこで今回はJURANのアーシングターミナルを使用した. 他製品がスズメッキのものが多い(ULTRAは金メッキ.でも高い)のに対し,これは真鍮の地色そのままという感じである. しかし肉厚が分厚くて,電気は通りやすそうである.接続ボルトが4本ついているのも特徴である. とりあえずバッテリーのマイナス端子のボルトに取り付けて,ボンネットを閉めてみると・・・ちゃんと閉まった.よし. というわけで,オーディオとサージタンクへのアース線を取り付けてみた.まだ時間的に余裕があったので, 簡単にできそうだったECUのアースポイントにもアーシングしてみることにした. 今回のケーブルは,Pivotのスケルトンケーブル(無色,内部は銀色.太さは8sq)を使用してみた. 初めて使ったのだが,KIV線よりももっとしなやかで取り回しがしやすい.さすが専用ケーブルというだけのことはある. ただし,ねじれ方向には固いので,端子を取り付ける向きはできるだけ合わせた方がよい.(作業日:2002年4月28日)

最終更新日:2002年5月3日

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