2006年8月20日
 京都市西京区大原野南春日町
負傷したオオスカシバ
 
お寺の庭の縁にはクチナシの垣根があるので、オオスカシバの幼虫でもいないかと見ていたら、幼虫で
はなくて毛並みの良い成虫が留まっていました。ただ、雀にでも突かれたのか、左の翅をほとんど失っ
て飛べずにいました。しかしそれ以外は負傷している様子もなく、今にも飛び立とうとするかのように
翅をときどき振るわせます。普段は花から花へ飛び回っている姿しか見ることがないので、じっくりと
見たのは初めてです。正直なところ私は蛾類は苦手なのですが、なぜかこのオオスカシバはそのような
ことを少しも感じさせません。小鳥のような毛並み、セミのような翅、精悍な触角と顔立ち。蛾とは違
った昆虫の印象があるからかも知れません。このとても透明な翅は表面が特殊な構造になっていて、た
だ鱗粉を取っただけの翅よりもずっと透明度が高くなっているようです。実際この翅は、脈が枝分かれ
していないせいもあってか、とても簡素できれいに見えます。しかし、この体の大きさ
に比べてずっと小さいこの翅で飛び回る馬力はたいしたものです。