松阪城
天外魔境Uに出てくる城は、根の一族の魔城をのぞけば基本的に安土・桃山
時代以降の城のスタイルで建っています。しかし、伊勢国の松阪城だけは特異
なスタイルをしています。その理由を探ってみました。
まず松阪城の特異な点を見ると、その外観が八角形であることと内装に六ぼう星
が装飾されていることです。とりあえず、日本においてこういう魔術的なもの
といえば陰陽道かと思ったのですが、八方陣とかカゴメ紋とかいう話はおいといて
松阪と陰陽道との関わりを調べようとしたのです。しかし、直接的な話は見つか
らず、伊勢国の大名について調べることにしました。
北畠氏というのがいます。南北朝時代の南朝方の有力な武将で天皇のための
歴史書を書いたりした親房が有名ですが、この北畠氏が南北朝の頃から織田
信長に敗れるまで伊勢国を支配していたのです。その特異さを説明しましょう。
まず、南朝方だった北畠氏は後醍醐天皇の建武体制の中にいたのですから、
国司だったわけです。足利幕府に任命された守護が大名化した守護大名とは
違って、国司から大名化した珍しい例なのです。このような武将は他に飛騨と
土佐しかありません。南朝は貴族の世界の再興を目指したのですから、貴族の
世界のものである陰陽師の生き残りが北畠氏のもとにいてもおかしくない、
と思ったわけです。