2007年8月2日(木)
平成19年10月1日から雇用保険法が変わります
 平成19年10月1日から、雇用保険法の受給資格要件や給付が変わります。
 変更の概要は以下の4点です。

1.雇用保険の受給資格要件が変更されます

(1)これまでの週所定労働時間により、被保険者区分(短時間労働者以外の一般被保険者/短時間被保険者)がありましたが、この区分が無くなり、雇用保険の基本手当の受給資格要件が一本化されます。
(2)この変更は原則として、平成19年10月1日以降に離職された方が対象となります。

従来の取扱い
被保険者区分 受給するために必要な被保険者期間
一般被保険者 (短時間労働者以外) 6か月間(各月14日以上)
短時間労働被保険者(週所定労働時間20〜30時間) 12か月間 (各月11日以上)

    

新しい取扱い
被保険者区分 受給するために必要な被保険者期間
被保険者区分が一本化される。
(週所定労働時間の長短で区分されない)
12か月間(各月11日以上)
※倒産・解雇等により離職した方については、 6か月間(各月11日以上) 。


2.育児休業給付の給付率が50%に上がります

 平成19年3月31日以降に職場復帰された方から平成22年3月31日までに育児休業を開始された方を対象に、給付率が休業前賃金の40%から50%に引き上げられます。

    【従来の取扱い】
     休業期間中30%+職場復帰後6か月10%
               ↓
    【新しい取扱い】
     休業期間中30%+職場復帰後6か月20%

※なお、育児休業給付の支給を受けた期間は基本手当の算定基礎期間から除外されます(平成19年10月1日以降に育児休業を開始された方に適用)。


3.教育訓練給付の要件・内容が変更されます

(1)本来は「3年以上」の被保険者期間が必要である受給要件が、当分の間、初回に限り「1年以上」に緩和されます。
(2)これまで被保険者期間によって異なっていた給付率及び上限額が一本化されます。
(3)いずれの措置も、平成19年10月1日以降に指定講座の受講を開始された方が対象です。

従来の取扱い
被保険者期間 給付内容
被保険者期間3年以上5年未満 20%(上限10万円)
被保険者期間5年以上 40%(上限20万円)

    

新しい取扱い
被保険者区分 給付内容
被保険者期間3年以上
(初回に限り、被保険者期間1年以上で受給可能)
20%(上限10万円)


4.季節労働者向けの特例一時金の支給額が変更されます


    【従来の取扱い】
     基本手当日額の50日分
               ↓
    【新しい取扱い】
     基本手当日額の40日分

2007年4月19日(木)
平成19年度から雇用保険の保険料率が変わります
 本日、「雇用保険法等の一部を改正する法律」が国会で可決成立されました。また、厚生労働大臣より「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱」が労働政策審議会に諮問がなされ、同審議会がその内容を妥当とする答申がなされた結果、平成19年度からの雇用保険料の保険料率が次のとおり変更されることになりました。

平成18年度まで
事業主負担 労働者負担
失業等給付のための保険料率 0.8% 0.8% 1.6%
雇用安定事業等のための保険料率 0.35% なし 0.35%
1.15% 0.8% 1.95%
     
平成19年度から (新しい保険料率)
事業主負担 労働者負担
失業等給付のための保険料率 0.6% 0.6% 1.2%
雇用安定事業等のための保険料率 0.3% なし 0.3%
0.9% 0.6% 1.5%
※ただし、農林水産業、清酒製造業及び建設業の失業等給付のための保険料率については労使双方0.1%ずつの上乗せがあり、また、建設業の雇用安定事業等のための保険料率については0.1%の上乗せがあります。

 事業主負担は0.25%、労働者負担は0.2%、雇用保険全体としては0.45%の保険料率引き下げとなり、平成19年4月1日以降の労働保険料に遡って適用されます。
 なお、今回の雇用保険率改正の国会審議が4月19日までずれ込んだため、平成19年度の年度更新申告書の提出及び労働保険料・一般拠出金の納付の期限が、平成19年6月11日(月)まで延長されることとなっています。
 また、平成19 年4月1日から4月22日までの間に
  ア 保険関係が成立し、又は廃止した事業、
  イ 労災保険の特別加入の承認を受け、又は取り消された事業、
に係る労働保険料・一般拠出金についても、法定の申告・納付期限に22 日
を加えた日まで申告・納付期限が延長されます。
 以上、平成19年度の年度更新申告書の提出及び労働保険料・一般拠出金の納付の際には、今回の改正点にご留意下さい。
2007年3月13日(火)
「労働契約法案」と「労働基準法の一部を改正する法律案」の閣議決定
 厚生労働省発表によると、「労働契約法案」と「労働基準法の一部を改正する法律案」が、それら法案の国会への提出について、平成19年3月13日に閣議に付議され閣議決定されました。
 それぞれの概要は次のとおりです。

「労働契約法案」
 本法案の立法は、「労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則及び労働契約と就業規則との関係を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。」とされています。
 これを簡約すれば、「就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等に対応し、個別の労働者及び労働関係が良好なものとなるようにルールを整えること。」ということになります。
 また、本法案が国会で可決成立した際の施行期日は、公布の日から3か月以内で政令で定める日とされています。 →労働契約法案要綱
<労働契約法案のポイント>
立法事項 立法のポイント 立法のねらい
労働契約の締結 ・対等の立場の合意原則を明確化
・契約内容の理解を促進(情報の提供等)
・契約内容をできるだけ書面で確認
・安全配慮
契約内容を確認することによって誤解が減り、労使が相互理解の上で労働者が安心・納得して就労できる
労働契約の変更 ・合意原則の明確化
・一方的に就業規則の変更により労働者に不利益な変更ができないこと
・労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情を考慮して、就業規則の変更が合理的な場合は労働条件が変更されること
労働契約の成立・変更の原則や労働契約と就業規則の関係が明らかになる
労働契約の継続・終了 ・解雇の権利濫用は無効(労働基準法から移行)
・懲戒の権利濫用は無効等
不当な懲戒、解雇等の禁止
有期労働契約 ・契約期間中はやむを得ない事由がない限り、解雇できないことを明確化
・契約期間が必要以上に細切れにならないよう、使用者に配慮を求める。
有期労働契約が安心して働けるようになる


「労働基準法の一部を改正する法律案」
 本法案では、現行の労働基準法について「長時間労働者の割合の高止まり等に対応し、生活時間を確保しながら働くことができるようにするため、労働時間制度の見直しを行う等所要の改正を行う」ことが主眼とされています。
  また、本法案が国会で可決成立した際の施行期日は、公布の日から1年以内で政令で定める日とされています。 →労働基準法の一部を改正する法律案要綱
<「労働基準法の一部を改正する法律案」>
改正事項 現在 改正後
時間外労働の削減 時間外労働の割増賃金25% 時間外労働

〜45時間   ・25%

45時間超〜 ・ 労使で時間短縮・割増賃金率を引上げ(努力義務)

80時間超〜 ・ 割増賃金 50%(法的措置)(注)
         ・引上げ分の割増賃金の支払に代えて有給の休日付与も可能

(注)80時間を超える時間外労働に対して割増賃金を50%とする部分については、中小企業に対して猶予措置を講ずる。
年次有給休暇の有効利用 日単位での年休取得 5日分は、子の通院等の事由等に対応して、時間単位での年休取得を可能とする。
2007年2月6日(火)
「労働契約法案要綱」及び「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」の答申について

 平成19年1月25日に、厚生労働大臣から労働政策審議会に対して諮問された「労働契約法案要綱」及び「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について、平成19年2月2日に労働政策審議会から厚生労働大臣に対する答申が行なわれました。

 [今回の答申のポイント]
1.自己管理型労働制(ホワイトカラーエグゼンプション)について
  以下の@A等の理由による労働者代表委員からの反対意見が明記されました。
  @既に柔軟な働き方を可能とする他の制度があること。
  A長時間労働となる恐れがある。
2.企画業務型裁量労働制について
  以下の@Aの理由による労働者代表委員からの反対意見が明記されました。
  @(従来の基準に加えて特に中小企業を対象とした基準が新たに設定されることについて)
    二重の基準を設定することは問題である。
  A対象者の範囲が拡大する。
3.時間外労働の割増賃金について
  割増賃金の引上げは長時間労働を抑制する効果が期待できないばかりか、企業規模や業種
  によっては企業経営に甚大な影響を及ぼすので引き上げは認められないとする、使用者代表
  委員からの反対意見が明記されました。

2007年1月14日(日)
「平成18年度大学等卒業者就職状況調査(平成18年12月1日現在)について」
−厚生労働省発表−
 厚生労働省が平成19年1月12日に発表した「平成18年度大学等卒業者就職状況調査(平成18年12月1日現在)について」によると、大学等新卒者の就職内定状況は次のとおりとなっています。

@「大学の就職内定率は79.6%で、前年同期を2.2ポイント上回る。男女別にみると、男子は80.9%(前年同期を2.0ポイント上回る)、女子は78.2%(前年同期を2.7ポイント上回る)。」
A「短期大学の就職内定率(女子学生のみ)は54.2%で、前年同期を4.2ポイント上回る。」
B「高等専門学校の就職内定率(男子学生のみ)は97.3%で、前年同期を3.8ポイント上回る。」
C「専修学校(専門課程)の就職内定率は68.7%で、前年同期を9.0ポイント上回る。」

 以上の発表から、就職状況は大学卒・短大卒・高専卒・専修卒のいずれも好転していることが分かります。優秀な従業員の確保を目指す企業にとっては、今後一層の採用競争力が求められる可能性がありそうです。
2007年1月14日(日)
「平成18年度高校・中学新卒者の就職内定状況等(平成18年11月末現在)について」
−厚生労働省発表−
 厚生労働省が平成19年1月12日に発表した「平成18年度高校・中学新卒者の就職内定状況等(平成18年1月末現在)について」によると、高校・中学新卒者の就職内定状況は次のとおりとなっています。

高校新卒者
@「就職内定者数は15万2千人(前年同期比6.8%増)であり、就職内定率は77.3%で、前年同期を4.5ポイント上回る。就職内定率を男女別に見ると、男子は82.7%(前年同期を4.0ポイント上回る)、女子は70.7%(前年同期を5.1ポイント上回る)。」
A「求人数は31万2千人で、前年同期に比べ17.4%増加。」
B「求職者数は19万6千人で、前年同期に比べ0.5%増加。」
C「求人倍率は1.59倍となり、前年同期を0.23ポイント上回る。」
中学新卒者
@「求人数は2千5百人で、前年同期に比べ12.0%増加。」
A「求職者数は3千7百人で、前年同期に比べ9.5%減少。」
B「求人倍率は0.68倍となり、前年同期を0.13ポイント上回る。」

 以上の発表から、就職内定状況は高校・中学新卒者のいずれも好転していることが分かります。優秀な従業員の確保を目指す企業にとっては、今後一層の採用競争力が求められる可能性がそうです。
2007年1月14日(日)
「今後の労働時間法制の在り方について」 −労働政策審議会平成18年12月27日答申−
 答申では「少子高齢化が進展し労働力人口が減少する中で、我が国の経済社会の活力を維持するため、就業形態の多様化、個別労働紛争の増加、長時間労働者の割合の高止まり等の課題に対応し、労使双方が安心・納得した上で多様な働き方を実現できる労働環境の整備が必要となっている。」としており、答申の主な内容を抜粋すると次のとおりです。

1.労働契約の基本的なルールの法制化(労働契約法の立法)
2.長時間労働の抑制と割増賃金率の引上げ
3.時間単位の年次有給休暇制度の導入
4.自由度の高い働き方をするホワイトカラー労働者について労働時間に関する規定の適用除外(ホワイトカラーエグゼンプションの導入)

 なお、4の対象者の要件としては次の4つの要件をいずれも満たす者とされています。
「@労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事するものであること」
「A業務上の重要な権限及び責任を相当程度伴う地位にある者であること」
「B業務遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする者であること」
「C年収が相当程度高い者であること」

 

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