Wind Climbing ]W
『デイロード公園で待ってる!! ゴン・キルア』
そう、送ったはいいけれど………
金属製のカブト虫を転がしながら、軽く息をつく。
「なーゴン」
「何?キルア」
「クラピカ……来ると思うか?」
言った途端に引き攣ったゴンの顔を見て、しまったと舌打ち。
不必要に不安にすることはない。
余計なことは言うつもりじゃなかったのに。
「キルアは、来ないと思うの?」
「ああいや、そうじゃなくて………」
そうじゃなくて?
なら、なんだろう。
「来る来ないじゃなくて、これで来なかったらここまでだなって思って」
「どういうこと?」
「上手く言えねーけど………」
『お前がオレ達のこと仲間とも対等とも思えないなら――――』
数時間前、自分が言ったこと。
これが吉と出るか凶と出るか?
「何でもなければ大したことじゃねーんだけどさ」
クラピカの今の精神状態は、状況を見る限り、良くないと予想できる。
「追い詰めた、かも」
いい加減はっきりさせとかなきゃいけない時期ではあったけれど。
これで2択になった。
「今回クラピカが来なきゃ…………多分オレ達を仲間として」
一旦言葉を切る。
オレにとっても意外とこたえることみたいだった。
「仲間として、切り捨てることになる」
約束の日に会えなかった。
電話にもなかなか出なかった。
先送りにしてきたこと。
だけども、
もう、逃げ道は奪った。
今回、アイツが拒絶したのなら。
それはもう、そこまでで。
たとえその先オレ達が探し当てたとしたって、
無意味なこと。
だから、来い。
そんなこと、許し難い。
待ってる、から。
いつの間にか下を向いていたらしい。
ゴンがどんな表情で聞いていたのか、顔をあげた。
真剣な瞳でいたゴンは、そこでふ、と表情を緩ませた。
「キルアが、そう思ってるなら大丈夫」
「………は?」
「なんでそうなるのかオレにはよく判んないけど、キルアがそう思ってるんならきっとクラピカもそう考えてるよね」
二人ともそういうトコ似てるから、と笑う。
「だったら、大丈夫」
「だから何で」
「クラピカは一人で生きてるけど、一度認めてくれれば大事にする人だから」
「大……事?」
「そう、キルアもそういうとこあるよね。それは判ってるでしょ?」
一瞬、風の感覚。
半年一緒に居ても相変わらずの、新風が吹き込むような奴。
ああ、アイツにも当たらせてやらないと。
たまには日干しして、風を入れてやらないと。
きっと今ごろ錆びてるから。
迷惑がっても知るもんか。
「明日、何時から待ってる?」
「早めに。一日中待ってる覚悟で」
「そだな、一日中な」
「うん」
ニカっと笑って、確認。
そうだ、待ってよう。
今なら信じることができるから。
「よーし、じゃまず食料の買出しだ!」
「おー!!」
明るい気持ちで駆け出した。
これまた即席書き。
もっと短くなるかと思いましたがこんなもんか。
次からやっと2人揃うのでホッとしてます。
あと……最低4つくらいで終わりますかね。長くても6つくらい?それまでおつきあい願います。