わたくし流モダンジャズ道へ


リバーサイド・レーベルに刻んだ ビルエヴァンスの耽美な世界

ビルエヴァンス完全収録リストのご紹介


Explorations/Bill Evans ビルエヴァンス・トリオの神髄は、なんといってもリバーサイド時代に録音したアルバムの中にあることは、皆さんご承知のとおりです。彼はその後もいろいろなレーベルで多くの優れたミュージシャン達と共演していますし、彼自身 自分ののトリオはまだまだ進化し続けていると晩年に語ってはいるものの、心の奥深くまで浸み入るようなあのリバーサイド時代を超える演奏は、やはり聴かれなかったのではないかと正直わたくしは思います。

 メンバーとの相性(あの忘れられないベーシスト・スコットラファロの幻影を追い求め続けた?)という大きなファクターはもちろんあったのでしょうが、その後の彼自身の健康問題、家庭問題も無視することはできなかったでしょう。だからと言って、彼が確立したトリオ演奏の方向性、感性の素晴らしさ、質の高さのいずれをとっても、ジャズ史上に遺したエヴァンスの功績は決して変わるものではないですよね。
 晩年の病の進行にもかかわらず治療をひたすら断り、ライブ演奏をし続けたエヴァンスのモダンジャズへの執念、情熱に、わたくしはなぜか止めどもなく涙が出てくるのです。

 ここでは、彼の絶頂期に至る演奏が時系列で聴けるリバーサイドレーベルにおけるビルエヴァンスの全吹き込みを収録したCD盤* から、全リストを紹介しておきましょう。
 12枚組、2005.9.15ビクターエンタテイメントからエヴァンス没後25周年特別企画として発売されたコンプリートセット。

 セットのタイトルは「BILL EVANS THE COMPLETE RIVERSIDE RECORDINGS」、1956-1963年にリバーサイドに残された147曲が聴けるのです。「PORTRAIT IN JAZZ」をはじめとしたスコットラファロ、ポールモチアンが加わったいまや伝説となったエヴァンストリオの名演奏も、もちろん入っています。
Waltz For Debby/Bill Evavs
 冒頭の写真は、エヴァンストリオによる1961.2.2録音の「EXPLORATIONS」のジャケット。「PORTRAIT IN JAZZ」とともに、まさにエヴァンス流モダンジャズピアノへの飽くなき探求の始まりを告げたアルバムです。

 左の写真は、1961.6.25 クラブ・ビレッジヴァンガードでのライブ盤「WALTZ FOR DEBBY」のジャケット。子供好きだったエヴァンス、デビーは兄ハリーの娘だという。

 なお、本アルバムセットに添付されている英文・和文各1冊の解説書もとても親切に、分かりやすく書かれており、われわれファンにとって、とても喜ばしい限りです。
 本ページ後半に掲載した各DISCの曲目、録音日、パーソネルは、添付の解説書から引用させていただきましたので、どうぞご覧ください。

 その前に、ビルエヴァンスの生い立ちと演奏活動について、簡単に触れておきましょう。

彼(William John Evans)は、1929年8月16日、米ニュージャージ州プレインフィールドに生まれ、二歳上の兄(ハリーエヴァンスJr. ピアニスト、音楽教師)とともに両親の理解のもと6歳のときからピアノを習い始め、バイオリン、フルートなどを学ぶなど小さい時から音楽環境は恵まれていたようです。
学生時代にマンデルロウ(guitar)と知り合い、その優れた才能を認められ、その後トニースコット(clarinet)や、リバーサイドのプロデューサーであったオリンキープニュースを紹介してもらうことになります。プロ活動は卒業後すぐに始め、その後も音楽学校に通いハーモニーや作曲を学び、レコーディングにも参加していたという。
1956年9月にリバーサイドから初リーダー作となるアルバム「NEW JAZZ CONCEPTIONS」を録音。このときのメンバーは、ポールモチアン(ds) テデイコティック(b)。
1958年春、マイルスデイビスのバンドにレッドガーランド(p)の後任として迎えられる。同年11月には退団し、自身のトリオを結成。
1959年3月、マイルスに呼び戻され、モードジャズの記念すべき作品「KIND OF BLUE」のレコーディングに参加。
この後、スコットラファロ(b)、ポールモチアン(ds)が加わってようやく彼の思い描くトリオを結成。同年12月に「PORTRAIT IN JAZZ」、1961年2月に「EXPLORATIONS」を録音。
1961年6月25日、クラブ「ビレッジヴァンガード」でライブ収録。その直後の7月6日、スコットラファロが自動車事故で亡くなる。後日、追悼盤として6月25日に録音されたライブ盤「SUNDAY AT THE VILLAGE VANGUARD」と「WALTZ FOR DEBBY」の二枚がリリースされる。
1961年末にベースにチャックイスラエルを迎え、1962年5月から再びトリオとしての演奏活動に入る。同年末にヴァーヴレーベルに移籍。1964年には、ドラムは、ラリーバンカーに代わり、イスラエルとともに65年秋まで活動する。(因みに、リバーサイドレーベルは1964年に活動停止し、1972年にファンタジーレーベルに吸収されました。)
1966年2月、父ハリーレオンエヴァンス死去。同年、ベースに、エディゴメスを迎える。1968年、初めてのピアノソロアルバム「BILL EVANS ALONE」を録音。1970年、エレクトリックビアノを弾いた初のアルバムを録音(MGM)。
1971年、CBSレーベルに移籍。1973年1月、エディゴメス(b)、マーティモレル(ds)を伴って初来日*。その直後にエヴァンスと一緒に日本に来たつれあいのエレインさん死去(自殺らしい)。同年8月にネネット・ザザーラさんと結婚。
 1973.1.20 東京芝郵便貯金会館ホールでの最終公演のライブアルバム「BILL EVANS LIVE IN TOKYO」がある。
1974年、ファンタジーレーベルに移籍。同年3月、同じメンバーで二度目の来日。1975年9月、初めての息子エヴァン生まれる。同年12月、ピアノソロアルバム「ALONE(AGAIN)」録音。1976年1月、三度目の来日。このときのドラムはエリオットジグモンドだった。
1977年、ワーナーブラザースレーベルへ移籍。エディゴメス(b)とは、同年8月録音のアルバム「YOU MUST BELIEVE IN SPRING」が最後となる。1978年9月、マークジョンソン(b)、フイリージョージョーンズ(ds)を伴って4度目の来日。
1979年に入り、ドラムにジョー・ラバーべラが加わり、マークジョンソン(b))とともに演奏活動に入り、これがエヴァンストリオの最後のメンバーとなる。同年春、敬愛する兄ハニーエヴァンスが自殺。同年8月、トリオにトムハレル(tp)、ラリーシュナイダー(ts,ss)が加わったアルバム「WE WILL MEET AGAIN」がスタジオでの最後の録音となる。
1980年9月15日、ルイジアナ州バトンルージェにて持病が悪化し亡くなる。亨年51歳。残念なことに5度目の来日を目前にしての死去だったという。

 ビルエヴァンスについては、わたくし流モダンジャズ道の後章(お気に入りのアーティスト編ジャズにかけるわたくしの夢編) の各章でも触れていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

ビルエヴァンス没後25周年特別企画CDセット1-4ビルエヴァンス没後25周年特別企画CDセット5-8ビルエヴァンス没後25周年特別企画CDセット9-12

リバーサイドレーベルのビルエヴァンスコンプリート盤の内容


 DISC 1 1-12 1956.9.27録音 13-16 1958.12.15録音
1.I LOVE YOU 2.FIVE 3.CONCEPTION 4.EASY LIVING 5.DISPLACEMENT 6.SPEAK LOW 7.OUR DELIGHT 8.NO COVER,NO MINIMUM(Take1) 9.NO COVER,NO MINIMUM(Take2) 10.I'VE GOT IT BAD(AND THAT AINT GOOD) 11,WALTZ FOR DEBBY 12.MY ROMANCE 13.MINORITY 14.YOUNG AND FOOLISH 15.NIGHT AND DAY 16.OLEO
 DISC 2 1-6 1958.12.15録音 7-12 1959.1.19録音 13-14 1959.12.28録音
1.TENDERLY 2.WHAT IS THERE TO SAY? 3.PEACE PIECE 4.LUCKY TO BE ME 5.SOME OTHER TIME 6.EPILOGUE 7.YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC 8.HOW AM I TO KNOW? 9.WOODY'N YOU(Take1) 10.WOODY'N YOU(Take2) 11.MY HERT STOOD STILL 12.GREEN DOLPHIIN STREET 13.PERI'S SCOPE 14.WITCHCRAFT
 DISC 3 1-9 1959.12.28録音 10-13 1961.2.2録音
1.SPRING IS HERE 2.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE? 3.COME RAIN OR COME SHINE 4.BLUE IN GREEN(Take2-previously unissued) 5.BLUE IN GREEN(Take3) 6.AUTUMN LEAVES(mono) 7.AUTUMN LEAVES(stereo) 8.SOME DAY MY PRINCE WILL COME 9.WHEN I FALL IN LOVE 10.ELSA 11.SWEET AND LOVERY 12.BEAUTIFULL LOVE(Take1) 13.BEAUTIFULL LOVE(Take2)
 DISC 4 1-6 1961.2.2録音 7-10 1961.1.27録音 11-12 1961.2.21録音 13-14 1961.3.13録音
1.I WISH I KNEW 2.THE BOY NEXT DOOR 3.HAUNTED HEART 4.NARDIS 5.HOW DEEP IS THE OCEAN? 6.ISRAEL 7.WHO CARES?(Take4-previously unissued) 8.WHO CARES?(Take5) 9.GOODBYE 10.NANCY(WITH THE LAUGHING FACE) 11.TOY 12.ELSA 13.WALTZ FOR DEBBY 14.VENICE
 DISC 5 1 1961.1.27録音 2 1961.3.13録音 3-10 1961.6.25録音
1.KNOW WHAT I MEAN?(Take12-alternate) 2.KNOW WHAT I MEAN?(Take Re-7) 3.ALICE IN WONDERLAND(Take1-alternate) 4.MY FOOLISH HEART 5.ALL OF YOU(Take1-prevously unissued) 6.MY ROMANCE(Take1) 7.SOME OTHER TIME 8.SOLAR 9.GLORIA'S STEP(Take2) 10.My MAN'S GONE NOW
 DISC 6 1-9 1961.6.25録音
1.ALL OF YOU(Take2) 2.DETOUR AHEAD(Take1 alternate) 3.WALTZ FOR DEBBY(Take1-alternate) 4.ALICE IN WONDERLAND(Take2) 5.PORGY(I LOVES YOU,PORGY) 6.MY ROMANCE(Take2-alternate) 7.MILESTONES 8.DETOUR AHEAD(Take2) 9.GLORIA'S STEP(Take3-alternate)
 DISC 7 1-5 1961.6.25録音 6-9 1962.4.4録音 10-12 1962.5.17録音 13 1962.5.29録音
1.WALTZ FOR DEBBY(Take2) 2.All OF YOU(Take3-alternate) 3.JADE VISIONS(Take1-alternate) 4.JADE VISIONS(Take2) 5. ...a few final bars 6.DANNY BOY(Trad.) 7.LIKE SOMEONE IN LOVE 8.IN YOUR OWN SWEET WAY 9.EASY TO LOVE 10.HOW MY HEART SINGS 11.SUMMERTIME 12.IF YOU COULD SEE ME NOW 13.WALKING UP
 DISC 8 1-4 1962.5.29録音 5-13 1962.6.5録音
1.VERY EARLY 2.SHOW-TYPE TUNE 3.RE:PERSON I KNEW 4.34SKIDOO 5.POLKADOTS AND MOONBEAMS 6.I SHOULD CARE 7.I FALL IN LOVE TOO EASILY 8.EV'RYTHING I LOVE 9.IN LOVE IN VAIN 10.STAIRWAY TO THE STARS 11.IN YOUR OWN SWEET WAY 13.IT MIGHT AS WELL BE SPRING
 DISC 9 1-4 1962.6.16録音 5-7 1962.6.17録音 8-11 1962.8.21録音
1.WRAP YOUR TROUBLES IN DREAMS 2.WHEN YOU WISH UPON A STAR 3.YOU GO TO MY HEAD 4.YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC 5.INTERPLAY 6.I'LL NEVER SMILE AGAIN(Take Re6-previously unissued) 7.I'LL NEVER SMILE AGAIN(Take Re7) 8.LOOSE BLOOSE(Take3) 9.LOOSE BLOOSE(Take2,4) 10.FUDGESICKLE BUILT FOUR 11.TIME REMEMBERED
 DISC 10 1 1962.8.21録音 2-4 1962.8.22録音 5-10 1963.1.10録音
1.FANKALLERO 2.MY BELLS 3.THERE CAME YOU 4.FUN RIDE 5.WHAT KIND OF FOOL AM I?(Take1) 6.MEDLAY:MY FAVORITE THINGS, EASY TO LOVE,BAUBLES,BANGLES AND BEADS 7.WHEN I FALL IN LOVE 8.MEDLAY:"SPARTACUS" LOVE THEME,NARDES(previously unissued) 9.EVERYTHING HAPPENS TO ME(previously unissued) 10.APRIL IN PARIS(previously unissued)
 DISC 11 1-7 1963.1.10録音 8-11 1963.5.30録音
1.ALL THE THINGS YOU ARE(previously unissued) 2.SANTA CLAUSISCOMING TO TOWN(previously unissued) 3.I LONES YOU,PORGY(previously unissued) 4.WHAT KIND OF FOOL AM I?(Take2 previously unissued) 5.LOVE IS HERE TO STAY(previously unissued) 6.ORNITHOLOGY(previously unissued) 7.MEDRAY:AUTUMN IN NEW YORK,HOW ABOUT YOU?(previously unissued) 8.ALL THE THINGS YOU ARE(previously unissued) 9.LOVER MAN 10.LOVE IS HERE TO STAY 11.STELLA BY STARLIGHT
 DISC 12 1-7 1963.5.30録音 8-13 1963.5.31録音
1.'ROUND MIDNIGHT 2.WHO CARES? 3.THE BOY NEXT DOOR 4.ISN'T IT ROMANTIC? 5.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE? 6.HOW ABOUT YOU? 7.BLUES IN F/FIVE 8.EVERYTHING HAPPENS TO ME 9.IN A SENTIMENTAL MOOD 10.MY HEART STOOD STILL 11.TIME REMEMBERED 12.WONDER WHY 13.SWEDISH PASTRY

  BILL EVANS-PIANO with
・1956.9.27録音 Teddy Kotic(b) Paul Motian(ds)
・1958.12.15録音 Sam Jones(b) Philly Joe Jones(ds)
・1959.1.19録音 Paul Chambers(b) Philly Joe Jones(ds)
・1959.12.28, 1961.2.2, 6.25録音 Scott LaFaro(b) Paul Motian(ds)
・1961.1.27, 2.21, 3.13録音 Julian "Cannonball" Adderley(as) Percy heath(b) Connie Kay(ds)
・1962.5.17, 5.29, 6.5録音 Chuck Israels(b) Paul Motian(ds)
・1962.6.16, 6.17録音 Freddie Hubbard(tp) Jim Hall(guitar) Percy Heath(b) Philly Joe Jones(ds)
・1962.8.21, 8.22録音 Zoot Sims(ts) Jim Hall(guitar) Ron Carter(b) Philly Joe Jones(ds)
・1963.5.30, 5.31録音 Chuck Israels(b) Larry Bunker(ds)

・1962.4.4, 1963.1.10録音 unaccompanied piano

 (2005.9.15記 Copyright (C) 2005-2013 TOKU All Rights Reserved.)
    このウインドウを閉じる
    このページへ直接入られた方は、前のウインドウに戻る

このページへ直接入られた方は、わたくし流モダンジャズ道 もぜひご覧ください。