わたくし流モダンジャズ道へ


マイルスデイビス・アナログコレクション T


・・・オリジナル音源のすばらしさに感動


 われわれマイルスデイビスファンにとって、びっくり仰天のうれしいニュースを聞いたのは、昨年(2005年)の初冬であった。このCD・DVD全盛の時代に、ソニーミュージックダイレクトさんから、マイルスの絶頂期であったCBS時代に録音したアナログレコード20枚が、一挙に発売されるというのだ。

 この時期はハードバップジャズの絶頂期とも重なる。当時から日本で発売されたマイルスのレコードは、オリジナル盤とはまったく違って聴くに耐えないというような話が、ファンの間ではまことしやかに囁かれていた。
 残念ながら当時のわたくしが持っていたオーディオシステムでは、どちらを聴いても分からなかったとは思うのだが・・。
マイルスデイビスアナログコレクション
 同じものを、すでにレコードでもCDでもほとんど持っているというのに、迷うことなく即注文したのだから、これはもう「もの好き」以外の何ものでもない。
 オリジナル音源だといっても、いまは既発のCDでそれらは聴けるというのに、だ。

 とにかく一生に一度でもいいから、オリジナル音源をアナログで聴いてみたかったのである。それも最新のテクノロジーの成果を・・・。
 この気持ちはこのサイトをご覧になられる方には、十分にお分かりいただけると思う。ぜいたくといえば、これ以上のぜいたくはないのだ。

 しかも、発売元の説明によれば、LP盤では文字どおり本邦初公開というのもあるというのだ。「マイルスアヘッド」「マイルストーンズ」「1958マイルス」が完全ステレオ盤で、「マイルスインベルリン」は、モノラル盤で登場するという。
 しかも後者の二枚は、世界初だというではないか。本コレクションには、別テーク、未発表の演奏のおまけのレコードも一枚つくという。
今また見直されているレコードとプレーヤー
 2006年2月、3月と2回に分けて全21枚が手元に届いた。年甲斐もなくワクワクしながら荷を解いているとき、ふっと思い出したのだ。
 昔、買ってきたばかりのレコードジャケットをしばし眺めた後、レコード盤を取り出すとき、そして針を盤に落とすあの瞬間の気持ちである。


 落ちついたダーク色の頑丈な木製ラックに復刻盤が収められている。まるで大切な宝物を入れる宝石箱のようだ。
 今回のシリーズを監修された小川隆夫氏の言によれば、マイルスの最新の完全ディスコグラフィー付だという、レコードと同じサイズの分厚い解説書も本当にうれしい限りだ。

 冒頭の写真は、特製ラックに入った本コレクション(右)と、これに添付されている解説書(左上)・モダンジャズの至宝とされる「カインドオブブルー」ジャケット(手前)。

 いまさらこれらの紹介もどうかと思いますが、わたくし流モダンジャズ道サイトの補足編ということで、どうぞご覧ください。
 本コレクションは、オリジナル音源にこだわり、180グラムの重量盤を用いてプレスしたというが、肝心の音についてはオーディオが専門ではないので、他の方に譲ることとしましょう。(笑)


マイルスデイビス・アナログコレクションの概容


'ROUND ABOUT MIDNIGHT 'ROUND ABOUT MIDNIGHT
Side.1
1.'Round Midnight
2.Ah-Leu-Cha
3.All Of You
Side.2
1.Bye Bye Blackbird
2.Tadd's Delight
3.Dear Old Stockholm

Side.1-2 1955.10.26録音
Side.2-1,2,3 1956.6.5録音
Side.1-1.3 1956.9.10録音
マイルスデイビス(tp)
ジョンコルトレーン(ts)
レッドガーランド(p)
ポールチェンバース(b)
フィリージョージョーンズ(ds)
今さら紹介するのも気が引けるが、本盤がマイルスの黄金クインテットのCBSでの初アルバム。しかも、このオリジナルメンバーによるアルバムは、この1枚だけなのだ。じつはこのときマイルスは、まだプレスティッジと契約していたのだから、CBSレーベルからの発売は、あのマラソンセッション(1956.5.11,10.26)が終わるまで待たされた。
ミュートのマイルスと武骨なコルトレーンとの絶妙な組み合わせが、この名盤を産んだのだから、ジャズはホントおもしろい。
それにしても、結成早々のオリジナルクインテットを、真っ先に録音しておいたというのだから、恐れ入る。
MILES AHEAD MILES AHEAD
Side.1
1.Springsville
2.The Maids Of Cadis
3.The Duke
4.My Ship
5.Miles Ahead
Side.2
1.Blues For Pablo
2.New Rhumba
3.The Meaning Of The Blues
4.Lament
5.I Don't Wanna Be Kissed(by Anyone But You)

1957.5.6 5.10 5.23 5.27録音
ギルエヴァンスオーケストラ
マイルスデイビス(flh)
ポールチェンバース(b)
アートテイラー(ds)
マイルスがギルエヴァンスオーケストラと組んだ最初のアルバムなのだが、わたくしは、今までかなり厳しい評価をしてきた。なんでも今回この盤は、本邦初のステレオで登場したのだという。そういえば、手元の盤はモノラルだ。
ところがである。このステレオ盤が、とてもいい感じなのだ。音色が全然違う。各楽器がくっきりと前面に出てきている。信じがたいことだが、何かピッとくるものがあるのだ。今までの評価を変えないといけないかもしれない。
MILESTONES MILESTONES
Side.1
1.Dr.Jekyll
2.Sid's Ahead
3.Two Bass Hit
Side.2
1.Milestones
2.Billy Boy
3.Straight No Chaser

Side.1-3 Side.2-1,2,3
1958.2.4録音
Side.1-1,2
1958.3.4録音
マイルスデイビス(tp,p)
キャノンボールアダレイ(as)
ジョンコルトレーン(ts)
レッドガーランド(p)
ポールチェンバース(b)
フィリージョージョーンズ(ds)

Side.1-2キャノンボール、ガーランド抜ける。なんとピアノはマイルスが弾く
Side.2-2マイルス、キャノンボール、コルトレーン抜ける
モードジャズを初めて提示したマイルスの意欲作。やはりアルバムタイトルと同名の「マイルストーンズ」がいい。
昔買った手元の盤は、モノラル。これが、音がこもっている上に音域が狭く、折角のモードも台無しだった。今回このLP盤は本邦初のステレオでの登場だという。クリアーな音で入っている。CDではクリアーに聴けているのだから、てっきり不良盤だと思っていたのだが。
1958 MILES 1958 MILES
Side.A
1.On Green Dolphin Street
2.Fran-Dance
3.Stella By Starlight
Side.B
1.Lovw For Sale
2.Little Melonae

Side.B-2
1958.3.4録音
Side.A-1,2,3 Side.B-1
1958.5.26録音
マイルスデイビス(tp)
キャノンボールアダレイ(as)
ジョンコルトレーン(ts)
ビルエヴァンス(p)
ポールチェンバース(b)
ジミーコブ(ds)

Side.B-2のみ ピアノがレッドガーランド、ドラムスがフィリージョージョーンズに代わる。このトラックは、マイルスが旧録音テープ(1955.10.27録音)に音を重ねたものという
これほど数奇な運命を辿った盤もめずらしい。このアルバムで一件落着することになるのだが、帝王マイルスならではのこと。至宝の「カインドオブブルー」に至る過程の貴重なスタジオ録音というわけだ。
このオリジナル盤(日本盤、モノラル)は、世界で初めての編集発売であった。今回、このLP盤は、世界初のステレオというのもうれしい。
PORGY AND BESS PORGY AND BESS
Side.1
1.Buzzard Song
2.Bess You is My Woman Now
3.Gone
4.Gone, Gone, Gone
5.Summertime
6.Bess, Oh Where' My Bess
Side.2
1.Prayer (Oh Doctor Jesus)
2.Fishermen, Strawberry And Devil Crab
3.My Man'S Gone Now
4.It Ain't Necessarily So
5.Here Come De Honey Man
6.I Loves You, Porgy
7.There,s A Boat That's Leaving Soon For New York

1958.7.22 7.29 8.4 8.18録音
ギルエヴァンスオーケストラ
マイルスデイビス(flh,tp)
キャノンボールアダレイ(as)
ポールチェンバース(b)
フィリージョージョーンズ(ds)

Side1-2 Side.2-2,4,5 ドラムスはフィリージョージョーンズからジミーコブに代わる
ジョージガーシュイン(1898-1973)のオペラを題材としたギルとのコラボ2作目のアルバムだ。
ギルとの邂逅は40年代末、そこから「クールの誕生」が産まれるわけだが、その後もマイルスはずっとニューサウンドを求め続けていたに違いない。当時は思いもしなかったが、ここでもやはりマイルスは、コード進行によるアドリブを打破するアイディアを、真剣につかもうとしていたのだろうか。
それにしても、マイルスのソロは美しすぎる。これを称して、ひとはリリシズムという。
KIND OF BLUE KIND OF BLUE
Side.1
1.So What
2.Freddie Freeloader
3.Blue In Green
Side.2
1.All Blues
2.Flamenco Sketches

Side.1-1,2,3
 1959.3.2録音
Side.2-1,2
 1959.4.22録音
マイルスデイビス(tp)
キャノンボールアダレイ(as)
ジョンコルトレーン(ts)
ビルエヴァンス(p)
ポールチェンバース(b)
ジミーコブ(ds)

Side.1-3
キャノンボール抜ける

Side.1-2のみ
ピアノはウイントンケリー
これ以上多くを語らないほうがいいだろう。(聴いてなんぼの世界なのだから・・) それにしてもいくらジャズが好きだといっても、繰り返し聴く盤などそうはない。この盤は聴くほどに、底なしの深淵に引きずり込まれていくのだ。これは、マイルスだけでなく、ビルエヴァンスまでも一緒になって、わたくしを誘い込もうとしているのだろうか。
SKETCHES OF SPAIN SKETCHES OF SPAIN
Side.1
1.Conciento de Aranjuez(アランフェス協奏曲)
2.Will O' The Wisp
Side.2
1.The Pan Piper
2.Saeta
3.Solea

1959.11.20 1960.3.10 3.11録音
ギルエヴァンスオーケストラ
マイルスデイビス(tp,flh)
ポールチェンバース (b)
ジミーコブ(ds)

Side.1-1 Side.2-1にエルヴィンジョーンズ(perc)加わる
ギルとの3作目のアルバムは、なんとスペイン音楽に題材を求めた。マイルスは、インドをはじめ世界中の音楽にその奏法を探って、モード手法のヒントを得たという。スペイン音楽にも相当の興味を持ったらしい。
冒頭の大作「アランフェス協奏曲」は美しい旋律が頭を離れないが、やはりスパニッシュとフォービートの効いたB面がいい。
SOMEDAY MY PRINCE WILL COME SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
Side.1
1.Someday My Prince Will Come
2.Old Folks
3.Pfrancing
Side.2
1.Drad Dog
2.Teo
3.I Thought About You

Side.1-3 Side.2-1
 1961.3.7録音
Side.1-1,2
 1961.3.20録音
Side.2-2,3
 1961.3.21録音
マイルスデイビス(tp)
ハンクモブレイ(ts)
ウイントンケリー(p)
ポールチェンバース(b)
ジミーコブ(ds)

Side.1-1 Side.2-2にジョンコルトレーン(ts)加わる
Side.2-2ハンクモブレイ(ts)抜ける
すでに退団したジョンコルトレーンとの最後の共演アルバム。そして、後がまのモブレイも加わった貴重な記録だ。いずれにしてもこの時期の数少ないマイルスのスタジオ録音だ。ジャケットの写真はマイルスの当時のフランシステイラー夫人。ダンサーというが、当時のマイルスジャケットには以後何回か登場する。
本アナログコレクションを最初から順番に聴きながらこのコメント欄を書いているのだが、ギルとの一連のコラボを聴いた後、正直言ってこのアルバムにきて、何かホッとするものを感じる。緊張感からの開放か。ジミーコブのカクンカクンと刻むリズムがホント心地よい。
MILES DAVIS IN PERSON FRYDAY NIGHT AT THE BLACKHAWK 1 MILES DAVIS IN PERSON
FRIDAY NIGHT AT THE
BLACKHAWK SAN FRANCISCO
VOLUME 1

Side.1
1.Walkin'
2.Bey Bey Blackbird
Side.2
1.All Of You
2.No Blues
3.Bey Bye(Theme)
4.Love, I've Found You

1961.4.21録音
・サンフランシスコ、ブラックホークでのライブ
マイルスデイビス(tp)
ハンクモブレイ(ts)
ウイントンケリー(p)
ポールチェンバース(b)
ジミーコブ(ds)

Side.2-4 ウイントンケリーのソロ
いきなりアップテンポ、ハイテンションで火を吹くようなマイルスのブローイングで始まるこのライブ演奏。マイルスのリーダーアルバムとしては初のライブレコーディングの発売だという。(58年にニューポートでのレコーディングがあるが、発売はこれより後)
スタジオ演奏では決して聴けない、エキサイトしたマイルスを、幸運にも本作を契機にこの後聴くことになるのだ。
MILES DAVIS IN PERSON FRIDY NIGHT AT THE BLACKHAWK 2 MILES DAVIS IN PERSON
FRIDAY NIGHT AT THE
BLACKHAWK SAN FRANCISCO
VOLUME 2

Side.1
1.Well You Needn't
2.Fran-Dance
3.So What
Side.2
1.Oleo
2.If I Were A Bell
3.Neo

Side.1-2 Side.2-1
 1961.4.21録音
Side.1-1,3 Side.2-2,3
 1961.4.22録音
・サンフランシスコ、ブラックホークでのライブ
マイルスデイビス(tp)
ハンクモブレイ(ts)
ウイントンケリー(p)
ポールチェンバース(b)
ジミーコブ(ds)
クラブ・ブラックホークでの上記ライブアルバムの続編。
手元のかつて日本で発売された2枚組セットのレコードは、それぞれの曲目の演奏時間がいずれも短い。そのぶん、2枚目のA面「3.So What」の後に「4.On Green Dolphin Street」がもう一曲入っていた。
この曲(1961.4.21録音)以外は1961.4.14-15録音だと昔のこの盤にはクレジットされているが、間違いか。今回の2枚のLPは、ノーカット未編集だという。

◎パーソネル欄の楽器の略称。tp(トランペツト) flh(フリューゲルホーン) ts(テナーサックス) as(アルトサックス) p(ピアノ) b(ベース) ds(ドラムス) perc(パーカッション)


(2006.5.5記 Copyright (C) 2006-2013 TOKU All Rights Reserved.)

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